リスペクト? パクリ? 日本の戦前戦中ポスター、元ネタを“捜査”

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「現世楽園」1933年(日本大学文理学部所蔵)。※画像はすべて無断転載を禁止します
「現世楽園」1933年(日本大学文理学部所蔵)。※画像はすべて無断転載を禁止します

 これはリスペクト? それともパクリ? 戦前・戦中期の日本のポスターの「元ネタ」を突き止め、両方を見開きで並べて紹介する『ポスター万歳 百窃百笑(ひゃくせつひゃくしょう)』(文生書院)を、田島奈都子・青梅市立美術館学芸員が著した。ポスターデザインのある部分が、外国のデザイン関係の雑誌などに載った作品の「影響を受けた」とか「参照した」とは以前から言われていたというのだが……。

「五族協和」も「シラップ」も

 満州国設立1周年の「現世楽園」(33年)の5人の子どもたちの構図は、グリム童話を題材にして米国で作られたポスターに似る。元ネタにある大人を割愛し、子どもたちは「五族協和」を体現すべく5種類の衣装に着替えを施された。「サッポロビール」(1930年)の飛行機を見上げる視点と極端な遠近感は、ドイツの図版「ベルリン空港を飛び立つ飛行機」から拝借したようだ。ビール瓶などを追加している。

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