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東日本大震災の被災地で最大級の津波が発生すれば、安全な場所と考えられていた災害公営住宅(復興住宅)も避難所も浸水する恐れがある。震災の発生から11年半。各県が公表した「津波浸水想定」が投げ掛けた波紋は小さくない。【百武信幸、奥田伸一、安藤いく子】
前提崩れ、対策見直しも
「震災の時に『想定外』というものを体験した。だからどんな想定でも受け止めるつもりだ。ただ、行政が安全な場所として整備した場所に引っ越したのに、街ができた後になって津波が来ると言われても……」
震災で1133人が犠牲となった宮城県東松島市の「あおい地区」で地区会長を務める小野竹一さん(74)は戸惑う。
海岸から約4キロ離れたあおい地区は復興住宅が集まる。戸建てと集合住宅が混在し、約600世帯が住む。かつて一帯は田んぼで、震災時は農業用水路の水があふれたものの、津波は及ばなかった。だが、津波浸水想定では浸水域に含まれ、水深は「1メートル以上3メートル未満」と見込まれた。
あおい地区の住民を含む多くの被災者は、行政の求めに応じてそれまで住んでいた土地を手放し、内陸や高台に集団で移り住んだ。だが「安住の地」と信じた場所も津波が来る恐れがあるとされ、衝撃が広がる。
小野さんは、市内の大曲地区にあった自宅を津波で流され、仮設住宅を経てあおい地区に移住した。被災した住民が集団で移転する前からまちづくりについて話し合い、結束の強まりとともに自主防災活動も活発に行ってきた。「はじめから津波が来るとわかっていたら、海側に…
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