村上隆さんが豪華本で克明に? 世界的現代美術家の「失敗」とは

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「めめめのくらげ」を撮影中の村上隆さん(中央)=カイカイキキ提供
「めめめのくらげ」を撮影中の村上隆さん(中央)=カイカイキキ提供

 村上隆さんは、世界的に活躍する現代美術家だ。フィギュア作品が米ニューヨークの美術オークションで約16億円で落札されたことや、仏ベルサイユ宮殿での個展、高級ブランド、ルイ・ヴィトンとのコラボレーションなどは一般ニュースとして報道されてきた。2008年には米誌タイムで「世界で最も影響力のある100人」に選ばれている。「アート界の成功者」。誰もがそう思うだろう。

 そんな村上さんが「失敗談」をまとめたと位置づける大型本を、自身が代表を務める有限会社カイカイキキから刊行した。初監督を務め13年に公開された映画「めめめのくらげ」の全製作過程を記録した『ジ・アート・オブ・めめめのくらげ』である。

 478ページの本体に、村上さんの書き込みが分かるような決定稿、絵コンテ台本のほか本書完成までの秘話も付き、箱入りで2万2000円。失敗とは何のこと? しかも、豪華本に仕立ててまで失敗を克明に記録したわけは? 村上さんがメールで記者の質問に回答を寄せてくれた。

悲願の映画、「めめめのくらげ」で成就

 まずは、村上さんが映画界に進出した背景と、映画「めめめのくらげ」の概要を紹介しておこう。

 1962年生まれの村上さんは、映画公開時の報道向け資料(本書所収)で自身をこんなふうに説明している。「とにかく映画を撮りたい! という世代。人生の核心部分に特撮とアニメが居座っていて」「青年になった時点で、劇場版の『銀河鉄道999』とテレビアニメの『未来少年コナン』の鑑賞体験が決定打となり、将来アニメーションや子供映画を作る人になる! と思い込んでいたのですが、いざ、絵を描く段になって、挫折してしまい、現代美術作家に…」

 つまり、映画製作は悲…

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