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任期満了に伴う福岡市長選(11月6日告示、20日投開票)は、11日に現職の高島宗一郎氏(47)が出馬表明し、事実上の与野党一騎打ちとなる構図が固まった。36歳で民放アナウンサーから九州最大都市のトップに就いた高島氏。2018年からの3期目をひもとくと、それまでとは異なるかじ取りが見えてくる。
安倍氏と密、調整の「力」に
参院選が投開票された7月10日、高島氏の姿は、東京都渋谷区の安倍晋三元首相の自宅にあった。2日前奈良市で起きた銃撃事件で亡くなった安倍氏と対面を終えた夜、電話で周辺に「今度は自分たちの力で物事を実現させていかないといけない」とつぶやいた。「市長としての役割の中で、安倍氏の遺志を継ごうとしている」と周辺は受け取った。
高島氏が安倍氏との距離を急速に縮めたのは、14年5月に安倍政権が経済政策「アベノミクス」の一環として打ち出した「国家戦略特区」に市が指定されたことがきっかけだった。毎年1月には安倍氏の地元・下関市の神社に一緒に参拝。安倍氏の自宅に招かれ会食も重ねた。県内の衆院選で保守分裂となった選挙区でも、高島氏は安倍氏に依頼された候補を支援した。
特区を活用した大きな成果とされるのは、航空法に基づく建築物の高さ制限の緩和だ。これにより福岡空港に近くビルの高さが厳しく制限されていた福岡市中心部の再開発は進むことになる。特区に認定されても一つ一つの規制緩和を実現するには調整力が必要とされ、市関係者は「まさに岩盤規制。国とのパイプがなくては実現できなかった」と振り返る。高島氏は安倍氏に直接依頼することは避けていたというが、スタートアップ(新興企業)への法人税減税など、安倍氏の力は陰に陽に働いたとみられている。
現在の岸田文雄政権とは距離があり、県などと誘致に取り組んだ来年の主要7カ国首脳会議(G7サミット)には落選した。一方で、独自に築いたネットワークもあり、政府のデジタル臨時行政調査会(臨調)に唯一の地方自治体の首長として出席。13日に福岡市で開かれたスタートアップ支援のイベントでは、牧島かれん・前デジタル相らが市にエールを送り、オンラインで登場した河野太郎デジタル相も「福岡市をこれからもデジタル庁の実験場に使わせていただく。いろいろプロジェクトが目白押しなので、高島市長とこれからもしっかり組んで頑張りたい」と呼びかけた。
コロナ対策で「関係改善」
国政とのパイプを持っていた高島氏だが1、2期目と異なり、3期目は「安倍氏や後ろ盾の一人、麻生太郎氏らの力を借りて遂行した案件は少ない」(高島氏周辺)。そして「真価が問われた」と公明党関係者が語るのが…
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