インフレ対策、争点に浮上 バイデン政権、原油高騰止められず
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米中間選挙(11月8日投開票)では記録的な物価上昇(インフレ)を受け、経済政策が大きな争点になっている。インフレの制御に行き詰まるバイデン政権(民主党)は有権者の目を別の争点に移そうと躍起だが、野党・共和党は連邦上下両院での多数派奪還などに向けた攻撃材料として政権批判を強める。
「争点外し」も不作、景気も減速
「物価上昇との戦いに一定の進展があった」。バイデン大統領は13日の声明で、インフレ率が鈍化していることを強調した。
米労働省が同日発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比8・2%上昇。伸び率は3カ月連続で前月を下回った。
ただ、その最大の要因は6月に全米平均で1ガロン(約3・8リットル)=5ドル(現在のレートで約737円)を超え史上最高値をつけたガソリン価格の下落だ。9月にかけて約3・6ドルに下がったものの、国際的な原油価格下落の影響が大きく、バイデン政権の経済政策の効果とは言い難い。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国でつくるOPECプラスが10月5日の閣僚級会合で大幅減産を決めたことで油価は再上昇。ガソリン価格も上昇に転じ、4ドル台が目前に迫っている。
9月CPIでは家賃や医療費なども上昇。バイデン氏の期待とは裏腹に、ピークを過ぎたとみられていたインフレが再加速する懸念が浮上している。
バイデン政権は発足から2カ月後の2021年3月、新型コロナウイルス禍で苦しむ国民に、1人当たり最大1400ドル(同約21万円)を給付する生活支援など総額1・9兆ドル(同約280兆円)の大型経済対策法を成立させた。同年11月には5年で1兆ドルをつぎ込むインフラ投資法も成立。中低所得者層の生活を助け、コロナ禍からの経済回復を支えた。雇用環境は順調に回復し、政権発足時に6・4%だった失業率は足元で3・5%とコロナ前の水準に戻っている。
ただ、巨額の財政出動には需要を過度に増やす副作用がある。当時はコロナ禍からの社会活動の再開で需要が回復する一方、企業の生産体制は戻らず、社会全体で供給不足が始まって…
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