狙われるナイキ、中国で空前のスニーカーブーム 犯罪組織が関与?

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中国の転売アプリに定価の約40倍に当たる8万5999元(日本円で約170万円)で出品されたナイキスニーカー
中国の転売アプリに定価の約40倍に当たる8万5999元(日本円で約170万円)で出品されたナイキスニーカー

 警視庁は今春、他人のクレジットカード情報を使い、有名スポーツブランド「ナイキ」のスニーカーを購入したとして、中国人の男子留学生を窃盗と組織犯罪処罰法違反容疑で逮捕した。この留学生は1年弱で約180足のナイキスニーカーを不正購入し、中国に送っていた。スニーカーをどうするつもりか。背景を追うと、中国で過熱するスニーカーブームに乗じ、中国の犯罪組織が高額転売している可能性が高いことが分かってきた。

 留学生は2021年7月、何者かと共謀し、他人のカード情報を使い、ナイキジャパンのサイトで約2万円のスニーカー1足を不正購入したとして逮捕された。留学生は自宅に届いたスニーカーを、大阪府内の貿易会社を通じて中国に転送していた。

 捜査関係者によると、留学生は中国の通信アプリ「微信(ウィーチャット)」で、荷物を受け取り中国に転送する仕事のバイト募集を見つけて応募。アプリで何者かから転送先などの指示を受け、報酬として1足当たり800円程度を受け取っていたという。

 20年10月~21年7月の約10カ月間に約180足(計約500万円)の不正購入と転送を繰り返していたとみられ、警視庁の調べに「カード犯罪の被害品だと分かっていた」と供述していた。留学生は窃盗と組織犯罪処罰法違反罪で起訴され、1審で懲役1年8月(執行猶予3年)の判決が出た。

 捜査関係者などによると、ナイキジャパンのサイトでは、この留学生が関与したもの以外にも、カードの不正利用が多数確認されている。

 警視庁犯罪収益対策課は、中国の犯罪組織が裏で暗躍しているとみている。組織では、カード情報の入手役やスニーカーの購入役のほか、商品を中国に転送する役、中国国内での転売役など役割が細分化されているとみられる。

 犯罪組織がナイキスニーカーを狙う背景には、…

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