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習近平の中国

習近平体制は党大会を経て3期目が始動。権力集中が加速する異例の長期政権は、どこに向かうのでしょうか。

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習氏、3期目へ「内憂外患」の船出 正当性を誇示も、山積する課題

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中国共産党大会の会場で出席者に手を振る習近平総書記(右手前)=北京の人民大会堂で2022年10月16日、AP
中国共産党大会の会場で出席者に手を振る習近平総書記(右手前)=北京の人民大会堂で2022年10月16日、AP

 16日に開会した中国共産党大会の活動報告で習近平総書記(国家主席)は3期目入りを見据え、自身の成果を並べ立てた。だが内外の課題は山積し、台湾統一に向けた実効性のある戦略も描けていない。異例の長期政権を担う上で説得力のある実績には乏しいと言わざるを得ないのが実情だ。

米欧との対抗軸、鮮明に

 「我が党は人民を団結させ、長年解決できなかった数多くの難題を克服し、世界の注目を集める重大な成果を収めた」。習氏は16日の活動報告で、自身の実績を繰り返し誇示した。

 それは、2期10年というこれまでの慣例を破り、長期政権を見据えるうえで、自身の実績が「歴史的だ」と訴える必要があるためだ。実際に、習氏は貧困脱却などの成果を挙げて「中華民族の発展史に輝き、世界にも大きな影響を及ぼす歴史的勝利だ」と力を込めた。

 また「今後の5年を担う指導者は習氏以外にいない」との正当性を内外に示すことも重要だ。習氏は、2017年に自身が打ち出した「社会主義現代化国家の建設」という今世紀半ばまでの国家目標に改めて言及。今後5年が「重要な時期だ」と強調した。

 習指導部2期目は、米中対立の激化や、ロシアによるウクライナ侵攻など、国際社会でも激変が続いた。習氏は「極めて特殊で、極めて特異な5年」であり「100年に1度の大変動」だったと総括。「覇権主義と強権主義に旗幟(きし)鮮明に反対した」と述べ、強い指導者としての存在感を示した。

 活動報告からは、米欧とは一線を画した習氏の国家像も浮かび上がる。…

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【習近平の中国】

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