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被害の実態を徹底的に解明し、それを踏まえて厳正に対処する必要がある。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、宗教法人法に基づく調査を実施するよう、岸田文雄首相が永岡桂子文部科学相に指示した。
旧統一教会を巡っては1980年代以降、霊感商法や高額献金が問題視されてきた。
調査は、所轄する文科省や都道府県が宗教法人に対し、事業の管理・運営について報告を求めたり、質問をしたりするものだ。
「法令に違反して、著しく公共の福祉を害する行為」をした疑いがある場合などに実施できる。
旧統一教会は、霊感商法を行ったことはなく、献金トラブルも減っていると主張している。
しかし、近年、教団の組織的な不法行為を認める司法判断が出されている。政府が9月に設置した窓口には、1カ月弱で1700件以上の相談が寄せられた。
岸田首相は衆院予算委員会で、これらを理由に「手続きを進める必要がある」と説明した。
消費者庁の有識者検討会も、調査を求める報告書をまとめた。
そもそも教団の問題は、長年にわたって指摘されてきたが、政府はこれまで、調査に慎重な姿勢を示していた。
教団と自民党の関係に対する批判は根強く、内閣支持率の下落傾向が続いている。問題に向き合う必要性に迫られていた。
調査の規定は、オウム真理教事件を受けて、95年の法改正で設けられたが、過去に実施された例はない。調査体制を整えることが急務である。
文科省は専門家会議を設け、調査を実施する場合の基本的な考え方や基準を検討するという。
調査は、裁判所への解散命令請求を視野に入れたものになる。宗教法人の資格を失えば、活動に支障が生じかねない。
憲法が保障する「信教の自由」は、最大限に尊重されなければならない。とはいえ、いかなる団体であれ、公共の福祉を害する行為は許されない。
高額献金による困窮や家庭崩壊など、深刻な事態が明らかになっている。被害救済に向けた対策も早急に講じていく必要がある。