「お役ご免」COCOAの教訓から学ぶべきことは
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新型コロナウイルス感染症の接触確認アプリ「COCOA」について、政府は年内にも機能を停止することを決めました。感染拡大を予防する切り札として期待されましたが、その効果には疑問符もつきました。しかし「課題から学ぶべきことがある」と、坂村健・東洋大INIAD学部長は指摘します。
河野太郎デジタル相が9月中旬、「COCOA(ココア)アプリは機能停止になる」と発表した。COCOAは携帯電話の近距離無線を利用し、新型コロナウイルス陽性者の近くに15分以上いた可能性を知らせてくれるアプリだ。しかし今ではコロナ全数把握も最重要課題ではなくなり「お役ご免」に。開発で多くのゴタゴタがあり、効果もはっきりしなかったし、問い合わせが増えてかえって業務逼迫(ひっぱく)につながったという話もあり、失敗だったという非難も強い。
では、やらなければよかったかというと、そうではない。
まず開発トラブルの原因は、ざっくりいうと、COCOAの最新の開発手法と日本の行政のシステム発注の枠組みが全く合わなかったことだ。これをプラスに考えるなら、国や地方自治体などの「お堅い」組織が最新の開発手法を活用するための問題点を、COCOAがあぶり出したといえる。
COCOAのようなアプリを各国で作るため、グーグルやアップルがスマートフォンの基本ソフト(OS)の中に、プライバシーと強く関わる特別な機能を組み込んだ。この機能を利用するアプリは、プログラムをネット上に無償で公開するオープンソースにし、皆で試しながら改良を繰り返し素早く仕上げる「アジャイル(機敏)」の手法で開発された。世界中のプログラマーが協力し、数カ月という短期間で大枠のシステムができたのは素晴らしい成果だ。
しかしグーグルやアップルは、…
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