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野球場とラグビー場の建て替えなど、大規模な再開発が予定されている明治神宮外苑地区(東京都)。計画が環境に及ぼす影響を審議した東京都環境影響評価審議会は8月の答申で「審議会として今後の事業者の環境保全措置に継続的に関与する」という異例の一文を付け、環境問題に取り組む関係者の間で話題を呼んだ。結論を出して終わりではない――。その背景には、神宮外苑のシンボルであるイチョウ並木が本当に守られるかという委員らの懸念があった。
着工後も報告求める
「イチョウをはじめとした樹木を確実に保全していただく必要がある。事業者には適切な事後調査を行ってもらう必要があると考える」。8月18日にオンラインで行われた環境影響審で柳憲一郎会長は、三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、伊藤忠商事の4者で構成される事業者側が示した評価書案について答申するにあたり、注文を付けた。「(答申後にまとめられる)評価書への(指摘の)反映のされ方を、審議会として確認させていただく必要がある」。委員からも賛同する声が相次いだ。
環境アセスは、開発事業が環境にどのような影響を及ぼすか、事業者があらかじめ調査して予測・評価し、住民などの意見を聞くとともに、専門家が審議会でその内容を審査することで環境保全を図る制度だ。国は1997年に成立した環境影響評価法で規模が大きい事業に実施を義務づけている。東京都は、国に先立って80年に環境アセス条例を成立させた。
都環境局によると、環境アセスはあくまでも環境への影響をできるだけ小さくするための手続きで、これまで都のアセスによって事業そのものが中止になった例はない。また環境影響審が答申を出した後、計画に積極的に関与することはあまりなく、調査結果を書類で提出させる程度にとどまっていた。しかし、今回は着工時などの節目に事業者を審議会に出席させ、現状を報告させることを想定しているという。
なぜ、環境影響審は神宮外苑に、ここまでの関与を表明しているのだろうか。
百年の緑 伐採に相次ぐ懸念
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