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飛行機や自動車などに使われ、軽量化、低燃費化を実現してきた素材「炭素繊維」。リサイクルが難しく、廃材は埋め立て処分されることが多かったが、最近、身近な製品の部品として生まれ変わらせるケースが出てきた。
低燃費化に貢献もリサイクルに課題
炭素繊維は、アクリルなどの繊維を1000~3000度で加熱して炭化させた直径5~15マイクロメートルの素材で、軽くて強いのが特徴だ。炭素繊維に一定の温度に熱した液体のプラスチックを染みこませて固めた「炭素繊維強化プラスチック」は、かつては「鉄の塊」と呼ばれた飛行機に2000年代後半から大量に使われるようになり、自動車などにも使用されている。
ただし、現在流通しているものの多くは「熱硬化性」という性質のプラスチックを使っていて、加工時に熱を加えて固めてしまうと、その後に熱を加えて溶かしたり形を変えたりすることが難しい。このため不要な廃材は産業廃棄物として埋め立て処分されているケースが多い。
リサイクルをせず、製品の新規製造や部品交換のたびに新しい炭素繊維強化プラを作っていては、多くの資源やエネルギーを消費する。自動車や飛行機の低燃費化に貢献する炭素繊維強化プラだが、使用時の二酸化炭素(CO2)排出量は減らせても、製造時と廃棄時の環境負荷は大きいという欠点があった。
廃材から炭素繊維を分離
米航空機メーカー「ボーイング」の中型機「ボーイング787」の主翼を製造する三菱重工業にとっても、リサイクルは長らく課題だった。
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