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私の社会保障論 「エビデンス」生む調査=千葉大予防医学センター教授・近藤克則

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 一人の力は小さくても、力を合わせれば、時に1+1が3とか4の大きな力を発揮する。それと同じように、調査への回答など数字を集めただけの「データ」から、生活や政策に役立つ「エビデンス」(科学的根拠)を生み出せる。

 私たちが取り組む日本老年学的評価研究(JAGES)では、64市町村の高齢者25万人以上の調査回答データなどを用いてエビデンスづくりをしている。

 例えば「この1年間に転んだことは?」と尋ね、「ある」「ない」と答えたデータがある。それを校区ごとに集計すると、転んだ割合は12~34%で、約3倍の差があった。同様に、うつや認知症発症率が少ないまちも見つかった。どんな「人」が健康かではなく、どんな「まち」で健康になれるのか、個人レベルでなく地域レベルの特徴が見えてきた。その一つは、スポーツや趣味の会などが多く、参加しやすいまちだ。

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