ミャンマーの今 民主派武装組織10万人に 国軍と中露の関係は?
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ミャンマーで昨年2月、国軍がクーデターでアウンサンスーチー国家顧問率いる国民民主連盟(NLD)から政権を奪取して以降、軍事政権に反対する多くの国民が犠牲になっている。クーデター当初はメディアで大きく取り上げられたが、最近の情勢はあまり伝わってこない。ロシアや中国の影もちらついている。今後の行方や、日本がどのように向き合うべきか、ミャンマー情勢に詳しい根本敬上智大教授に聞いた。【聞き手・鈴木英生】
国軍は袋小路に追い込まれている
ミャンマー国軍は、市民の根強い抵抗で袋小路に追い込まれている。そのため、国際的孤立を無視した強硬路線を続けるほかなくなっている。
昨年2月のクーデター時は、1カ月程度で市民の抵抗を収束させて、国軍に都合よい枠組みの総選挙をやり直し、ミンアウンフライン最高司令官を大統領に選出するつもりだったと思われる。このもくろみは完全に破綻した。
まず、アウンサンスーチー氏を拘束しさえすれば抵抗は続かないと考えたのが誤算だ。高学歴で中産階級の若者が中心になって、スーチー氏の指示なしで自発的に抵抗運動を組織した。民主派勢力のスーチー氏離れを、国軍がよい意味で促進したようなものだ。
民主派の国民統一政府(NUG)は市民の支持はあるが国土を実効支配していない一方、国軍は支持はないが実効支配をしていると言われがちだ。しかし、現実はそう単純ではない。国軍支配地域は国土の7割弱程度で、残り2割は少数山岳民族の武装勢力支配地域、1割以上を民主派が支配しているようだ。
民主派が創設した武装組織、国民防衛隊(PDF)は、最多で10万人、実数は5万~7万人と思われる。国軍は公称40万人だが正規兵は20万人。クーデター後、約8000人が辞め、新規入隊者も減っている。士官学校は入試の2次募集をするほど人気が落ちた。装備の差はあるが、今の10万人対20万人が同数に近づくことは考えられる。
中国は両にらみ、頼みの綱のロシアも…
今年7月に行われた、国際社会に激しく批判された民主派4人に対する死刑執行も、国…
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