その影が生あるもののような松林 「氷点」の舞台、旭川を歩く
毎日新聞
2022/10/23 11:00(最終更新 10/23 12:19)
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北海道旭川市の三浦綾子記念文学館は「氷点」の舞台となった外国樹種見本林の入り口に建つ。幼い娘ルリ子を殺された病院長の辻口啓造は妻夏枝の不貞を疑い、ゆがんだ感情から「殺人犯の娘」である陽子を引き取って育てる。綾子の設定は厳密で、辻口邸は本館隣の分館の位置。夏枝から「真実」を告げられ、心が凍ってしまった陽子が睡眠薬を飲む美瑛川畔は林を突っ切った最奥にあたる。
学芸員の長友あゆみさんと林内を歩いた。広さは旭山動物園とほぼ同じ約15ヘクタール。ごみ一つなく、作品の場面と照らし合わせた解説板も控えめだ。チップの敷き詰められた歩道が足裏に心地よい。あちこちに背の低い樹木があるのは、8年前の台風で多くの木が倒れた後に植林したからだという。
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