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宮崎県内に大きな被害をもたらした台風14号から1カ月が過ぎた。各地で土砂崩れや道路の崩落が発生し、いまだ復旧作業が続いている。県北西部の椎葉村(しいばそん)では一時、孤立状態になった畜産農家の牛たちが元気な姿を取り戻した。命をつないだのは意外な職業のボランティアだった。
台風14号の通過に伴う豪雨と暴風がピークを過ぎた9月19日朝、椎葉村大河内の畜産農家、黒木吉美(よしみ)さん(72)は自宅から約1・5キロ離れた牛舎の様子を確認しに向かった。普段使う村道は所々で陥没し、車は通れなかった。大小の石があちこちに転がり、川のように水が流れる道をかき分けて歩を進めた。
幸い建物と飼育する25頭の黒毛和牛に目立った被害はなかったが、黒木さんが住む集落につながる国道が寸断され、外から牛の餌を運んでくることができなくなった。予備の飼料はあったが、せいぜい2~3日分。やむなく餌の量と回数を減らした。毎朝餌やりの度に何かを訴えるように鳴く牛を見るにつけ、眠れない夜が続いた。
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