- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

先日、久しぶりに昼の銀座を歩きました。多くの人が行き交い、街は活気を取り戻したようにも見えますが、新型コロナウイルス禍前の水準にはまだまだ遠いようです。完全復活に向けて、銀座を代表する名店の店主たちが懸けたのは、1世紀以上の歴史を持つある技術でした。【経済部・赤間清広】
「日東コーナー1948」は銀座に店を構えて70年を超える洋食の名店だ。多くの財界人や歌舞伎関係者に愛されてきた。天井高4メートルという開放感あふれる店内は連日、大勢の客でにぎわっていたが、コロナ禍で状況が一変した。
客足は一気に遠のき、売り上げは以前の1割にまで落ち込んだ。「このままでは、店が潰れてしまう」。5代目店主の竹田大作さん(44)が思いついたのが、こだわりのメニューの冷凍食品化だった。
厨房(ちゅうぼう)の一角に冷凍ルームを設置し、試行錯誤が始まった。さまざまな食材、料理を冷凍しては、実際に店で食べた時の「再現性」を模索し続けた。
コロナ禍の中でもがき続ける苦しい日々。一方で、仲間も徐々に増えていった。同じくコロナ禍に苦しんでいた銀座を代表する店もメニューの冷凍食品化に参加するようになった。
1887(明治20)年創業の老舗レストラン「みかわや」、1924(大正13)年に精肉店として営業を始めた割烹(かっぽう)「吉澤」、そして並木通りに店を構える洋菓子店「ピエスモンテ」――。
日東コーナーを含めた4店で今年、新たな冷凍食品ブランド「銀ぶらグルメ」を立ち上げた。ちょうど同じ時期、銀座の百貨店「松屋銀座」も地下2階の生鮮食品フロアの一角に冷凍食品売り場「ギンザフローズングルメ」の開設準備を進めていた。
ギンザフローズングルメがオープンし、「銀ぶらグルメ」など国内の名店の冷凍食品の販売が始まったのは今年8月末。…
この記事は有料記事です。
残り1106文字(全文1860文字)