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英国を拠点とするNGOによると、世界で上位1%のお金持ちが排出する温室効果ガスの量は、人類の半分を占める最貧困層全体からの排出量の倍以上に相当するそうです。気候変動の問題が深刻化する中、欧米ではセレブのステータスであるプライベートジェットに批判が集まっています。体が資本であるトップアスリートも例外ではありません。【外信部・八田浩輔】
パリ・サンジェルマン(PSG)のスーパースター、エムバペは腹を抱えて笑っていた。目尻の涙を手でぬぐっていたほどだから、よほどツボにはまったのだろう。9月初旬、サッカー欧州チャンピオンズリーグの試合前の記者会見での一コマだ。
PSGは言わずと知れたフランスの強豪クラブである。チームはその前の週、本拠地から380キロ離れた西部ナントでのアウェー戦のため、貸し切った飛行機で往復した。エムバペの笑いを誘った記者の質問は、TGV(フランス版新幹線)で移動すれば2時間程度の距離なのに、なぜ環境負荷の大きな飛行機を使ったのかとただすものだった。
笑いが止まらないエムバペを横目に、ガルティエ監督は「その質問があると思っていた」と応じ、したり顔で続けた。「砂上ヨットで移動できないか旅行代理店に相談したところだった」。砂上ヨットとは、帆と車輪が付いた砂浜で走るための陸上ヨットだ。事前に狙っていたジョークのようだが、会場をしらけさせたばかりか、政界を巻き込み「炎上」した。
ルモンド紙によると、ルメール財務相は「ガルティエ(監督)の皮肉は不適切だ」と批判すると、パニエリュナシェ・エネルギー移行相も「全く面白くない。問題を軽視する彼らのコメントは衝撃的だ」と不快感を隠さなかった。パリのイダルゴ市長は会見の動画を引用して「この対応は信じられない。あなたたち、目を覚まして」とツイートした。
まるで環境団体のような反応だ。なぜ閣僚や地元の首長がここまで怒るのか。
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