解散命令、見えぬ実現 前例ない「不法行為」 旧統一教会質問権行使
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文化庁は、宗教法人法に基づく解散命令の請求を視野に、金銭トラブルで多数の被害者が出ている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を調査する方針だ。ただ、岸田文雄首相が示した「民法の不法行為」を根拠にした請求は前例がなく、調査には憲法が保障する「信教の自由」への配慮が求められる。請求に至る道のりは不透明なままだ。
文科省、請求までの期間見通せず
「本件の重大性と緊急性を踏まえ、次回で一定の方向性を共有いただきたい」。宗教法人法に基づく初の「質問権」行使に向けて25日に開かれた専門家会議で、文化庁の合田哲雄次長は初会合にもかかわらず、出席した委員に、運用基準の検討を急ぐよう促した。
元々、同庁は解散命令の請求は難しいとする立場だった。過去に解散命令を受けたオウム真理教と霊感商法詐欺事件を起こした明覚寺(和歌山県)の2件は代表役員らが刑事罰を受けたことを踏まえ「慎重に判断する必要がある」としていたからだ。旧統一教会は幹部が刑事罰を受けた例はない。
だが、旧統一教会問題が内閣支持率を急落させる中、首相は17日に慎重姿勢を一転させ、質問権行使を永岡桂子文部科学相に指示。文科省もこれに同調せざるを得なくなった。「このタイミングで質問権が降ってくるとは思わなかった。大変だが、仕方がない」と文科省幹部の一人は明かす。それでも25日の閣議後記者会見で永岡氏は「年内のできる限り早いうちに権限を行使できるよう進める」と迅速化を改めて強調した。
文科省は想定外の指示で態勢が整わないまま、準備をスタートさせている。実務を担う文化庁宗務課は常勤職員が8人だ。応援職員を入れて24人に増やし、今後は他省庁から法律や会計の専門知識を持つ職員の派遣も受けるなど、急ごしらえで調査態勢を強化する。
専門家会議も首相の指示から約1週間で初会合を開く強行スケジュールとなった。文科相の諮問機関である宗教法人審議会のメンバーが会議の委員も兼ねることになったのも、「年内に行使するというスケジュールでは、別の専門家に依頼する余裕はなかった」(文化庁担当者)のが実情だ。
文化庁は、専門家会議での運用基準の検討をにらみつつ、質問項目の原案を作る。教団が組織的な不法行為責任を問われた2件の民事裁判の記録や、政府の窓口に寄せられた教団との金銭トラブルなど1700件以上の相談、毎年1回の提出を受けている教団の財産目録や収支計算書などから検討するとみられる。
首相は、請求の根拠として「民法の不法行為も入り得る」として、…
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