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鶏舎の扉を開けると、ニワトリたちが秋の陽光の中に出てきた。雑草や土をついばみ、羽を広げて地面すれすれを数メートル飛ぶものもいる。柵はないが、逃げはしない。
山形県長井市。背後には朝日連峰が迫る田園地帯で、菅野芳秀(72)は息子と共に卵用のニワトリ約1000羽を飼い、水田約5ヘクタールを耕す。菅野は「自分がニワトリに生まれ変わっても、これならいいかなと思える飼育環境にした」と胸を張る。
ニワトリたちはコメや市内の小中学校で出る給食の残飯を食べ、ふんは良質の肥料として田畑の栄養となる。菅野が実践する地域循環型農業の一つの形だ。その歩みは闘いの連続でもあった。
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