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世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る被害の救済に向け、国会での議論が本格化している。
自民、公明、立憲民主、日本維新の会の4党が、与野党協議会を発足させた。今国会での法制化を目指している。
長年にわたって霊感商法や高額献金が問題視され、困窮や家庭崩壊など深刻な被害が生じている。実効性のある仕組みを直ちに整えるべきだ。
政府が9月に設置した窓口には、1カ月足らずで1700件以上の相談が寄せられた。
金銭トラブルが大半だ。「家族が1億円を超える献金をして自己破産した」との訴えもあった。ここ1年以内の被害も少なくない。
消費者庁が近年の相談を分析したところ、高齢の女性が当事者となるケースが目立った。相談の半数以上は家族などからだった。
救済手段として早期実現が見込めるのが消費者契約法の改正だ。
霊感商法の契約を取り消せる規定が、2018年に設けられている。その要件を緩和するとともに、権利を行使できる期間を延長する案が検討されている。
ただ、献金を契約と見なせるかどうかには異論もある。消費者庁の有識者検討会は、マインドコントロール下での献金の要求を法律で禁止するよう求めた。
立憲と維新は、同趣旨の新たな法案を国会に提出した。献金要求をさせないための是正命令を政府が出せるようにし、違反には罰則を設けた。踏み込んだ内容だ。
家裁から「特別補助人」に選ばれれば、家族が本人に代わって返金を求められる規定を盛り込んだ。違法献金の目安について、手取り年収の4分の1超と示した。
しかし、第三者が関われば、憲法が保障する財産権の侵害に当たりかねない。年収を献金先に知られる恐れもある。
法整備で想定されるのは将来の被害対策である。過去の被害を救済する手立ての検討が必要だ。「2世信者」の支援も欠かせない。
相談体制の充実も重要である。法律家や心理学の専門家らが対応する窓口を設けるべきだ。
被害救済を先送りすることは許されない。与野党の協議を進め、できることから着実に実現しなければならない。