中国・習氏の強硬策、離れる「台湾人」の心 若き親中勢力の離反
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中国の習近平国家主席にとって最大の悲願は台湾統一だ。習氏は就任以来、「平和統一」を基本方針に掲げ、台湾企業などへのさまざまな優遇措置を強調、台湾の取り込み策を図ってきた。3期目の最高指導部人事を側近によって固めた習氏は悲願の実現を目指す。だが、平和統一路線は行き詰まりつつある。
20日朝、台北市。11月26日の同市議選に出馬する与党・民進党の公認候補、陳聖文氏(24)が「皆さんに奉仕する機会を私に与えてください」と訴えていた。手を振る市民に陳氏は笑顔で応じた。
中国は民進党を「台湾独立勢力」とみており、両者は激しい対立関係にある。だが陳氏はかつて「親中派」の青年だった。
葬祭業を営む陳氏の父は2013年、中国に進出した。同年、中国政府が台湾企業への優遇措置などを発表し、中国でも事業展開できるようになったためだ。台湾は当時、対中融和路線を取る国民党の馬英九政権。中台関係が改善している時期だった。
陳氏は高校卒業後の16年、大学に通いながら父の仕事を手伝おうと上海に移り住んだ。この年、台湾では総統選で国民党候補を破った民進党の蔡英文氏が総統に就任。習指導部は17年以降、台湾への軍事的圧力を強め始めた。だが陳氏の生活に影響はなく、同年には知人の勧めもあり国民党に入党。中国側との交流活動にも積極的に関わった。
「中国で活躍している台湾青年」は中国政府にとって格好の宣伝材料だ。「台湾の同胞と中国大陸の発展の機会を分かち合う」。中国メディアは18年1月、こう題した記事を掲載した。中国で対台湾政策を担う高官が、中国に住む台湾出身者と面会したとの内容だ。この場に陳氏もいた。高官は「台湾同胞が中国大陸で仕事、生活、就学、就職をするうえで(中国人民と)同等の待遇を提供するため関連の政策を推進する」と約束。陳氏ら台湾学生側は「更に多くの台湾青年が大陸で仕事や起業をするようになる」と歓迎した。陳氏の氏名も中国メディアで報じられた。父は中国での事業を拡大して約40の拠点を築き、父子で順風満帆な中国生活を送っていた。
だがその後、父の会社に異変が起きた。…
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