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高校生が対戦型ゲームで勝敗を競う第5回全国高校eスポーツ選手権(毎日新聞社など主催)は11月19日のフォートナイト(FN)部門から予選をスタートする。過去の大会で「リーグ・オブ・レジェント(LoL)」部門に出場したOB3人に大会での思い出や後輩たちへのメッセージを聞いた。【聞き手・杉本修作、清野悠介】
5対5の陣取りゲーム「LoL部門」
LoLは5対5で争う陣取りゲームで、「チャンピオン」と呼ばれる特性の異なるキャラクターを150体以上の中から1人1体ずつ選択。敵のチャンピオンを倒しながら陣地を広げ、相手の本拠地「ネクサス」の攻略を目指す。
話を聞いたのは、教育事業を手掛ける「ヒューマンアカデミー」が運営するプロチーム「Human Academy CREST GAMING」に所属する綱澤志遠(ゲーム名:プリモ)選手(20)▽大村尚(同:フナフィー)選手(19)▽飛田空良(同:モモ)選手(19)の3人だ。綱澤はN高のメンバーとして出場した第2、3回選手権で優勝。クラーク記念国際秋葉原で第2、3回に出場した大村は第2回で綱澤のN高に敗れ、準優勝だった。飛田は第4回にN高で出場し、準決勝に進出した。
綱澤と大村は大会で最も印象に残った試合に、ともに優勝を争った第2回の決勝戦を挙げる。
大村「初めて経験するオフラインでの決勝で、第1ゲームの序盤、緊張でうまく試合を進めることができず、リードを許してしまいました。それでもドラゴンを巡る集団戦で、自分がビッグプレーをして『一気に逆転』というところまでいったんです。でも、その時、緊張や焦りで適切な対処ができなくて、敗北につながったことが思い出です。
基本的には気持ちで戦い、みんなで励まし合いました。小さなミスでも『大丈夫』『まだいける』って声がけをして。しかし、結局、個人技の差が出ましたね。大会に向けて一から作られたチームで、LoLに慣れていない選手もいて、経験値の差も試合結果に表れたと思います」
綱澤「フナフィーのビッグプレーのシーンは、今まで出場した大会の中でも一番印象に残っています。あのプレーが出た時、『この試合負けるな』と思いました。でも、リーダーの選手が作戦を変えるように指示を出して……。具体的には正面から戦わず、少人数で相手の動きを止めて、あとは本陣を狙う。その作戦を遂行してなんとか勝てました。全国高校eスポーツ選手権に初めて出場しての優勝だったのでうれしかったですね」
飛田「僕は第4回の準決勝で、フナフィーさんの後輩のチームに敗れました。十分に準備してきたつもりでしたが、相手のチームに他の大会で勝ったこともあって慢心があったと思います。
負けた時はすごく悔しかった。僕たちのチームは基本的にはガツガツ攻撃するチームだったんですけど、そこへの対処だったり、こちらが仕掛けた時、人数差を使ったチームファイトで圧倒されたりした。試合後、チーム全体で集まったんですけど、そこに行けず、10分ほどトイレにこもってしまいました。悔しすぎて泣いてしまった。
その試合を境に練習量を増やした。『慢心したらいつでも誰にでも負ける』という怖さを学びました。手を抜いて練習していないか常に自問するきっかけを与えてくれた試合です」
大村「後輩チームのコーチをしていたので、その試合を見ていました。後輩たちが自分たちの達成できなかった、N高に勝って優勝した。うれしい半面、すごく悔しい思いもありました」
綱澤「僕もモモ選手たちの練習の手伝いをしていたので観戦していました。ただ、練習通りにいってなかったですね。チャンピオンの選択に疑問を感じて心配したんですが、結果はその通りになりました」
飛田「その通りですね。今もたまに思い出すことがあります。なんであの選択をしちゃったんだろうなって」
3人の記憶に深く刻まれた全国高校eスポーツ選手権。その経験は今も生きているという。
大村「自分の中で、オフラインの舞台に立つというのは貴重な経験でした。会場で人に見られ、評価されながら試合をするという経験は、それまでまったくなかった。この競技はメンタルが大事なので、経験を積んで耐性ができたことがよかったです」
綱澤「選手権での経験がその後、プロの道に進むきっかけになりました。自分の人生の根本的なところに、この大会が関わってきていると思います」
飛田「N高は通信制なので、普段の練習でチームメートと顔を合わす機会もなかったので楽しかった。決勝の緊張感は唯一無二の経験ですね」
大村「選手権でライバルだったN高の選手と今、一緒のチームで活動して、まるで漫画のようだって思いますね」
3人が描く今後の夢とは何か――。
綱澤「LoLを始める学生たちに、その楽しさを教えるコーチの仕事がしたい。僕が高校生の大会で活躍できたのはコーチの方のおかげと、すごく感謝しています。だから、自分もそういう仕事に就きたいです」
大村「僕も同じです。コーチや講師の方々に生活面や人間性の指導もしてもらった。eスポーツを通じて、人を育てられることに魅力を感じています」
飛田「将来的には日本の第一線で活躍し、海外でも活躍できるような選手になりたい。そのため、もっと実力をつけていくことですね」
最後に、選手権に出場する後輩たちに向け、それぞれの思いを伝えた。
綱澤「出場するからには楽しむことが大事。楽しむことができれば、その経験はこれからも生きていくと思います。本気で戦う以上、チームメートとぶつかることもあります。大会の前日にけんかしたこともありましたが、全員一丸となって試合に挑みました。そういった経験ができるのも大会に出場したからです」
大村「出場したことで多くの経験ができました。試合が映像配信されれば、その向こうにいる多くの人に見られ、評価されます。それは今後の社会でも生かせると思います」
飛田「出場するという第一歩を踏み出すことが大事。勝つことでしか味わえない経験もあれば、負けることでしか得られない経験もある。どちらにせよ、価値がある。ぜひ、出場してください」
◇
第5回全国高校eスポーツ選手権では出場チームを募集しています。エントリーの締め切りはFN部門が28日までで、ロケットリーグとLoL両部門が11月18日まで。エントリー受け付けや大会の詳細は公式HP(https://www.ajhs-esports.jp/)へ。
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