新たな「物価の番人」は誰に?候補者を徹底考察
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本命視される日銀出身者か、それともサプライズがあるのか――。来年4月に任期満了となる黒田東彦・日銀総裁の後任選びが徐々に熱を帯びてきた。顔ぶれ次第では「異次元」と称された金融緩和が修正される可能性もあり、国民生活や経済に大きな影響をもたらしそうだ。誰が「物価の番人」となるのか、現状を整理した。
大本命は日銀出身の2人
「経済、金融面でさまざまな動きがあると思うが、来年4月の時点で、最もふさわしい人物を選びたい」。10月17日の衆院予算委員会。次期総裁人事について問われた岸田文雄首相は、こう答弁した。
日銀総裁は内閣が国会の同意を得た上で任命する。過去の「ねじれ国会」では政府提案が国会で否決されたこともあるが、衆参で自公が多数を握る現状では、岸田氏が望む人物を総裁に据えることができる。
現在、有力視されている人物は2人いる。黒田総裁の下で副総裁を務める雨宮正佳氏(67)と、その前任の副総裁だった中曽宏・大和総研理事長(69)だ。
同じ日銀出身者とはいえ、2人の経歴は対照的だ。雨宮氏は金融政策を担当する企画畑を長年歩み、早くから将来の総裁候補と言われてきた「プリンス」。理事や副総裁として黒田氏の異次元緩和の立案にも深く関わってきた。
これに対し、中曽氏は金融危機対応や、国際業務を得意としている。1990年代後半の金融危機や、2008年のリーマン・ショック時は危機対応の最前線に立ち、国際決済銀行(BIS)で市場委員会議長を務めるなど世界の中央銀行・金融当局関係者とも強いつながりを築いている。
岸田氏が雨宮氏を選べば、「黒田路線を続ける」というメッセージを自民党、金融市場の双方に発信できる。一方、中曽氏を選べば「異次元緩和で失われつつある市場機能の回復など、政策転換の期待がにじむ」(市場関係者)。総裁選びは、岸田氏がどのような金融政策を望むのかを測る試金石と言える。
どう出る財務省?
日銀総裁人事は戦後長く、日銀と大蔵省(現・財務省)出身者で分け合ってきた。その人選も、事務方がまとめた案を首相が追認することが多かった。
これを覆したのが、12年に発足した第2次安倍晋三政権だ。安倍氏は従来の慣行を無視し、自らが提唱する「アベノミクス」を推進する人物を総裁に据えるサプライズを敢行した。この結果、選ばれたのが当時、アジア開発銀行(ADB)総裁を務めていた黒田氏だ。
黒田氏も財務省出身ではあるが、国際業務を担当する事務方ナンバー2の財務官経験者。それまで日銀総裁は事務方トップの事務次官の「指定席」。財務官出身者は総裁人事とは無縁とみられてきた。省内には「まさに安倍人事だった」(幹部)と驚きが広がった。
この黒田氏と似た経歴の財務官僚OBも現在、総裁候補の一人として取り沙汰され…
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