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滋賀県守山市で5年前に自殺した市立中学2年の男子生徒(当時14歳)を巡り、市の第三者委員会が作成した調査報告書で、両親の養育姿勢を否定するような内容が記載されていたことが判明した。両親は共働きで、近くに住む祖父母に協力を得ながら子育てをしていた。報告書は自殺原因を「不明」としたが、家庭に問題があったと受け取れる記述もあった。
愛情注ぎ、家族の時間作るため転職
「報告書は心の傷をえぐるような内容で、息子を守ってあげられなかった自責の念が倍増しました」。14歳で自らの命を絶った男子生徒の両親は守山市の自宅で取材に応じ、苦しい胸の内を明かした。報告書の修正を訴えた際、市側の担当者のある言葉にも傷つけられたという。
心優しい性格だった男子生徒は、二つ年下の弟の面倒をよく見た。いつも仲良しの自慢の兄弟。スマートフォンのオンラインゲームが大好きで、「将来の夢はプログラマー」と口にしていた。仏壇には今も男子生徒が愛用していたスマホを解約せずに置いている。
「子供たちに悲しい思いをさせちゃいけない」。共働きだった両親は子育てについてよく話し合い、祖父母にも協力を求めた。平日の夕飯は可能な限り家族4人で食卓を囲み、父親は土日に家族との時間を作ろうと転職もした。
家族で過ごした思い出は尽きない。長期休暇に入れば、乗り物が好きだった男子生徒を三重県の鈴鹿サーキットに連れ出した。2017年の夏には4度目の沖縄旅行にも出かけた。海岸で赤く染まる夕日を見ながら笑う男子生徒の写真。この一枚がまさか遺影になるなんて考えたこともなかった。
男子生徒は中学生になると、反抗期で以前より言葉数は少なくなった。2年生に進級後、学校生活について「しゃべる人はいるけど、友だちはいない」と話したこともある。母親は「何かあったら言ってね」と声を掛け続けたが、体育大会の打ち上げでは同級生らと花火で遊んだことを知らされ、少し安心していた。
息子はなぜ自死を選んでしまったのか。…
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