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二“人”六脚-保護犬イブと暮らして

記者は2018年末、1匹の保護犬を引き取った。保護犬と向き合う中年男の奮闘を通して、動物と人間との絆、命の大切さを考えたい。

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二“人”六脚-保護犬イブと暮らして

「ペットは家族」 企業の動物との共生、進まない取り組み

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窓際でひなたぼっこするイブ=栃木県大田原市で2022年2月11日正午、湯浅聖一撮影
窓際でひなたぼっこするイブ=栃木県大田原市で2022年2月11日正午、湯浅聖一撮影

 <連載16回目までのあらすじ>

 保護犬イブは、2020年4月に栃木県大田原市に来てからは、構ってもらおうと「仮病」を使ったり、「ウサギかみつき事件」を起こしたりするなど、前任地の福島県会津若松市時代にも増して私を困らせた。ただ、一目ぼれした雌の保護犬すみれちゃんにはいちずな態度を見せた。出会って約1年後、すみれちゃんはがんで死んでしまう。事情が分からず、いつものように振る舞うイブの姿にやるせなさを感じた。それから約半年が経過し、再び私に……。

   ◇

2度目の異動「外飼いしかできない」

 「本日の夜にでも話ができますか」

 年の瀬の2021年12月初旬、上司である宇都宮支局長から連絡があった。異動の話にしては早すぎるし、見当が付かなかった。ただ何となく胸騒ぎはした。

 その日にオンラインで支局長が言う。「誠に言いにくいのですが、来春から大田原通信部をなくすそうです」。突然の話に返す言葉がなかった。会社の方針だそうで、異動は必然となった。

 イブにとっては2度目。栃木県大田原市でイブのような中型犬を飼える賃貸物件が少なく、探すのに苦労した。そうした苦い経験から「イブが生きている間は、異動は避けたかった」というのが本音だった。

 「新しい赴任地にイブを連れて行けなかったら、どうしようか」

 今年の正月、福島県西郷村の自宅に帰ると妻に相談した。「可哀そうだが、自宅に戻しても外飼いしかできない」と妻は話した。

 実は我が家の状況は、イブを迎え入れた時から変化している。

 以前は先住犬との相性が悪かったため、帰った際はイブを2階の部屋に入れて会わせないようにしていたが、今は4歳の孫の部屋になって使えない。

 さらにイブには、かみついた「前科」がある。1回目は同県会津若松市で一緒に生活を始めて間もない18年6月、脱走した時に捕まえようとした私の両手首をかんだ。2回目は食べてはいけない物を口にしていたので取り上げようとした時。3回目は記憶に新しいウサギ事件だ。

 孫はイブの性格を認識できないので、不用意に手出しをして危害を加えられるかもしれない。妻は言い切った。

 「24時間監視できるわけではない。孫を守りたい」

 室内飼いが前提の私は、妻の強い意志に反論できなかった。それと同時に見通しがつかないイブの世話を巡る問題に頭を抱えてしまった。

 2月に内示が出て盛岡市への転勤が決まった。案の定、中型犬を飼える物件探しは困難を極めた。やっとのことで紹介してもらったマンションも、翌日にはオーナーか…

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