ルノーとの不平等な資本関係見直しへ それでも日産が慎重なワケ
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日産自動車と仏ルノーの提携関係を大幅に見直す交渉が大詰めを迎えている。日産の危機を救うため、20年以上前に日産に出資し、主導権を握ってきたルノーが、一転して出資比率引き下げに前向きな姿勢を見せている。一方、危機を乗り越えた日産にとって関係見直しは悲願のはずだが、幹部や取引先は浮かない表情を見せる。両社の間に何が起きているのか。
関係見直しに前向きなルノー
「アライアンス(提携)の持続可能な運営やガバナンスの実現に向けて、継続的に改善に取り組む」。ルノーと日産は10月10日に共同声明を発表し、資本関係の見直しを含めた協議を進めていることを明らかにした。
ルノーの筆頭株主は15%を出資する仏政府だ。マクロン大統領は同17日付の地元経済紙のインタビューで「連合の強化や未来戦略の発展に資する全ての動きを国は後押しする」と発言。ルノーのスナール会長も「政府とは連携している」と説明し、日産との関係見直しに前向きな姿勢を示す。
ゴーン被告送り込み、経営再建
両社の関係は1999年にさかのぼる。経営危機に陥った日産に対し、ルノーが約6000億円を出資したのが始まりだ。同社から最高執行責任者(COO)として日産に送り込まれたカルロス・ゴーン被告が大規模なリストラを進め、経営を再建した。
提携関係は助け舟を出したルノーに有利な内容になった。同社が日産株の43%を保有する一方、日産のルノーへの出資比率は15%にとどまり、フランスの制度上、日産側には株主総会の議決権もない。2016年に燃費不正問題で販売不振に陥った三菱自動車に日産が34%出資し、連合は3社体制となり、部品調達や開発の共通化など合理化を進めている。
18年にゴーン氏が金融商品取引法違反容疑で逮捕されて失脚すると、日産の技術力を評価する仏政府の意向を受け、ルノーは経営統合を打診。日産は猛反発し、資本関係の見直しを求める声が強まった。
経営体制を巡る混乱や新型コロナウイルスの影響もあり、問題は棚上げされた。ところが今秋以降、フランス側は日産の求めに応じて出資比率を15%に引き下げる方向で協議を開始した。関係見直しに前向きな姿勢に転じたのには理由…
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