第59回点字毎日文化賞に「高知システム開発」 音声出力ソフト提供

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ユーザーから日々寄せられる問い合わせに対応する高知システム開発のスタッフ=同社提供(画像の一部を加工しています) 拡大
ユーザーから日々寄せられる問い合わせに対応する高知システム開発のスタッフ=同社提供(画像の一部を加工しています)

 視覚障害者の福祉、文化などの分野で貢献した個人や団体を表彰する「第59回点字毎日文化賞」は、視覚障害者向けパソコン用ソフトウエアの開発・販売を行う「高知システム開発」(高知市)に決まりました。団体の受賞は4回目です。

 同社は1984年、日本初の「点字入力・音声出力ワープロ」を開発。現在、視覚障害者のパソコン利用者の約8割がこのソフトの後継シリーズを使用しているとされ、視覚障害者の教育の発展や新職業開発などに大きく貢献しました。

 賞状と記念盾、副賞の中村京太郎賞(置き時計)、日本盲人福祉委員会奨励賞(30万円)を贈ります。表彰式は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため行いません。毎日新聞社

「書く」を実現、支えた40年

「第59回点字毎日文化賞」の受賞が決まった「高知システム開発」=同社提供 拡大
「第59回点字毎日文化賞」の受賞が決まった「高知システム開発」=同社提供

 「頭の中が驚きでいっぱいになった」。「第59回点字毎日文化賞」に決まった「高知システム開発」(高知市)で広報や営業を担当する女性スタッフは、受賞の知らせを聞いた時のことをそう振り返る。20年余りの勤務の中で何よりの支えは、多くの視覚障害ユーザーから寄せられる感謝の言葉だ。同社のソフトウエアは、盲学校にも導入され、視覚に障害のある人が働く職場からの注文も少なくない。

 日本初の「点字入力・音声出力ワープロ」は、2人の視覚障害者の「強い意志」で誕生した。その一人が高知県立盲学校の元教諭で全盲の有光勲さん(80)=高知市=だ。生まれつき目がほとんど見えなかった有光さんは、1982年の夏に開かれた全国の盲学校教員の研究会での体験を「衝撃的だった」と語る。他の盲学校教諭が開発した漢字仮名交じり文が入力できる点字ワープロを使って自分の名前を自力で画面に表示できたからだ。「こんなに簡単なんて!」。目が見えないと活字を書くのは無理だという考えは一変した。だが、画面に表示された文字を自ら確認することはできなかった。

 盲学校の職員会議で報告したところ、中途失明者で同僚の故・北川紀幸さんが飛んできた。「高知」と入力すると、「最高の高、知るの知」などと漢字を音声で教えてくれるソフトウエアの開発を2人で目指した。協力したのが、83年に高知システム開発を創業した大田博志社長(72)だった。翌年に完成した「点字入力・音声出力ワープロ」は、視覚障害者を活字が書けない不自由から解放し、事務職などへの職域拡大をもたらした。

 来年、設立から40年を迎える同社は、視覚障害者がインターネットで好きな時に知りたい情報を簡単な操作で手に入れられるよう、開発やサポートに取り組む。今後はパソコンの楽しさや面白さを体験できるようなソフトウエアを開発したいという。スタッフの心にはいつも「ユーザーに寄り添いながら、日々の生活や仕事が、より豊かになるお手伝いをしたい」との思いがある。【佐木理人】

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