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米中間選挙2022

米大統領選の中間の年に連邦議会の上下両院、州知事などの選挙が一斉に実施される中間選挙が11月8日に投開票されます。

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トランプ氏支配で変質した共和党 恐怖する保守派、沈黙する議員ら

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民主党候補への投票を呼びかける電子看板を背にしたジェームズ・カーマインさん=米東部ペンシルベニア州で2022年10月19日午前11時23分、秋山信一撮影
民主党候補への投票を呼びかける電子看板を背にしたジェームズ・カーマインさん=米東部ペンシルベニア州で2022年10月19日午前11時23分、秋山信一撮影

 米中間選挙(11月8日)に向けて、保守派がリベラル色の強い民主党を支援する動きが出ている。本来は政治信条が相いれない「政敵」に肩入れするというねじれ現象の背景には、トランプ前大統領の登場による共和党の「変質」がある。

「不満の種」を憎悪に変え

 中間選挙を約1カ月後に控えた10月11日、東部ペンシルベニア州ピッツバーグの幹線道路近くにある幅15メートルほどの電子看板に選挙向けの広告が掲示された。「私は保守派だ。私は銃所持者だ。私は(民主党の州知事候補の)シャピーロ氏に投票する」。銃規制強化に反対する保守派の大半が共和党を支持する中、広告の男性は「民主党支持」を訴えた。

 「トランプ(前大統領)が出てきてからの共和党は恐ろしい。広告に出ることで家族に危害が及ばないか怖かった。だけど、止めないといけないんだ」。カーロー大学准教授のジェームズ・カーマインさん(68)は語気を強めた。

 職場に近い州第2の都市ピッツバーグの自宅と、約100キロ離れた農村ファーミントンの別宅を往来する生活を送ってきた。自宅の近所は、医師や弁護士など高学歴でリベラル派の民主党支持者が中心で、親友は修道女同士のカップルだ。一方、別宅周辺は、農家や鉱山労働者が多く、大半は共和党支持者だ。「銃を持ったまま教会に来る人がいる」という土地柄で、カーマインさんも休日には狩猟をする。

 家族、勤労、教育、信仰。大事なものを「保守」したいとの気持ちから、カーマインさんは価値観が重なる共和党を支持してきた。伝統的価値を大事にする農村を「米国の心臓部」と呼ぶ。しかし、「二つの米国」で生活するうちに懸念が募った。「心臓部」では貧困がまん延し、都市部や連邦政府のエリートへの反感が広がっていたのだ。都会と田舎、高学歴と低学歴、頭脳労働と肉体労働。「都会の金持ちにバカにされている」と卑下する農村の共和党支持者の「不満の種」に火を付けたのが、トランプ氏だった。

 2016年の大統領選に出馬した当初のトランプ氏は「言動に品がなく、国の代表にふさわしくない」との印象だった。しかし、反エリートを掲げ、民主党に「極左」のレッテルを貼り、性的少数者(LGBTQなど)を平気で差別するトランプ氏を「体裁を気にせず、本音を代弁してくれる」と歓迎する人もいた。不満をあおり、農村部で「憎悪のうねり」を起こすトランプ氏を見て、カーマインさんは共和党を離れた。

 「大統領に就任すればマシになるかもしれない」との期待も裏切られた。…

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