政府軍が「兵糧攻め」 520万人に人道危機 エチオピア内戦2年

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病院で栄養失調の治療を受ける2歳の子供=エチオピア・メケレで10月4日、AP 拡大
病院で栄養失調の治療を受ける2歳の子供=エチオピア・メケレで10月4日、AP

 エチオピア北部ティグレ州を拠点とする旧与党勢力・ティグレ人民解放戦線(TPLF)と、政府軍の内戦は4日で開始2年を迎える。双方が一進一退を繰り返す泥沼状態が続いており、政府側は食料や援助物資の補給路を断つ「兵糧攻め」を実施。500万人以上が食料確保に困窮する事態に見舞われている。

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 エチオピア政府とTPLFは10月25日、開戦以来初めて公式の和平協議に臨んだ。アフリカ連合(AU)が仲介し、南アフリカの首都プレトリアで30日までの予定だったが、協議の内容や結果は公表されていない。双方は非難合戦を続けており、直ちに停戦につながるかは不透明だ。

 TPLFは1990年代以降、政権の一角を占める有力勢力だったが、2018年に就任したアビー首相との関係が悪化して与党から離脱し、20年11月に武力衝突に発展した。当初は政府軍が優勢で1カ月ほどで州都メケレを制圧したものの、その後TPLFが反転攻勢して一時は州外にも進軍した。今年3月に人道援助受け入れを理由に双方が攻撃を中止して小康状態になったが、8月から再び戦闘が活発になっている。

 紛争では人道危機が深刻になっている。国連によると現地ではおよそ520万人が水や食料などの援助を必要としている。ただ政府側はTPLFを弱体化させるため、意図的に食料や支援物資の搬入を制限している模様だ。深刻な食料不足により既に数十万人が餓死しているとの見方もある。現地は通信が途絶している上、外部の調査団や記者の立ち入りが禁止されていて実態は不明だ。

内戦でエチオピア政府を支持する集会に集まった市民ら=アディスアベバで10月22日、AP 拡大
内戦でエチオピア政府を支持する集会に集まった市民ら=アディスアベバで10月22日、AP

 ベルギー・ゲント大の研究者らの集計では、戦闘により2年間で少なくとも約7400人が死亡し、実数はさらに多いとみられる。国連人権理事会の専門家が9月に公表した報告書では政府、TPLF双方に市民に対する虐殺や暴力行為があったと紹介。「メケレ占領中に女性をレイプした」などとして、エチオピア政府軍の兵士がティグレ州で広範に性的暴行を行ったと指摘した。またTPLF側にも規模はより小さいものの性的暴行があったとした。

 エチオピアはティグレ人を含む約80の民族が暮らし、他にも長年、民族間の対立や緊張があった。中央政府がティグレ人への憎悪をあおると、国全体で民族間の緊張が高まり、地域が不安定化するとの懸念も出ている。【ヨハネスブルク平野光芳】

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