「ザ・カセットテープ・ミュージック」復活 BSの新たな可能性

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「シーズン2」初回放送(11月6日午後9時)の一場面。左からマキタスポーツさん、ゲストの河村唯さん、スージー鈴木さん=BS12トゥエルビ提供
「シーズン2」初回放送(11月6日午後9時)の一場面。左からマキタスポーツさん、ゲストの河村唯さん、スージー鈴木さん=BS12トゥエルビ提供

 ミュージシャンで俳優のマキタスポーツさん(52)と、音楽評論家のスージー鈴木さん(55)によるマニアックな音楽解説で人気を博しながら、昨年レギュラー放送を終了したBS12トゥエルビの音楽トーク番組「ザ・カセットテープ・ミュージック」が、11月6日から復活する。CMなどの広告収入だけに頼らない、新たな手法で「シーズン2」を制作するという。出演者2人や高橋良美プロデューサー(39)に聞くと、BSテレビの新たな可能性が見えてきた。

 番組は「評論をエンターテインメントにできないか」と高橋さんが企画し、第1、第2土曜午前2時放送の深夜番組として2017年秋にスタートした。

 扱うのは1980年代前後のヒットソング。ユーミン(松任谷由実)や山下達郎が多用する「メジャーセブンス」などのコード(和音)の働きを解説したり、「卒業」(85年、尾崎豊)や「カブトムシ」(99年、aiko)の聴かせどころで使われる「ソ♯(ソのシャープ)」の役割を分析したりしてきた。

 歌手の歌唱映像を使用せず、「あのときこの歌手が……」といった芸能史の振り返りも少ない。ただ楽曲を聴いて、その解説に徹するのが特徴だ。

 小難しいトークが番組として成立するのか不安もあったが、高橋さんは「マキタさんとスージーさんは、独自の切り口で楽曲の新しい見方、聴き方を示してくれる。同時に、上から目線や、知識のマウンティング(自分の優位性を示す態度)めいた雰囲気が一切無い『品の良さ』も併せ持つ。視聴者は、その曲がなぜ良いと思うのかを言語化してもらえた気持ち良さを感じつつ、内容の全てが分からなくても楽しめてしまう」と話す。

 当初は松田聖子や井上陽水、佐野元春など歌手ごとの特集が多く、サザンオールスターズをテーマにした番組の初回放送(17年10月6日)は翌年の「衛星放送協会オリジナル番組アワード」で、バラエティー番組部門最優秀賞を受賞した。

 その後も「輝く!日本カセットテープ大賞」と称した独自の“賞”を創設したり、音楽用語そのものをテーマにしたりと、趣向を凝らした放送を展開。放送2年目の18年10月からは、番組を30分から55分へと拡大し、第1、第2日曜午後9時という各局が看板番組を編成する枠へと昇格した。

 地上波のキー局のように2桁視聴率を記録する大衆的な広がりとは異なるが、SNS(ネット交流サービス)や口コミでじわじわと評判は拡散した。これまでに2冊の番組関連本を発売したほか、毎年のように有料イベントを実施するなど、熱心なファンに愛された。

 しかし、番組は21年9月12日にレギュラー放送を終了した。BS12トゥエルビはBS受信用アンテナやテレビがあれば無料で視聴できるため、収益は広告収入が基本だ。番組は、広告収入だけでは制作費を持続できなくなったことや視聴率など営業、編成上の理由でレギュラー放送を終えることになったという。

 ところが、…

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