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自民党幹事長を史上最長の約5年2カ月務めた二階俊博衆院議員(83)が徐々に存在感を高めている。岸田政権では要職から外された二階氏だが、菅義偉前首相とも良好な関係を維持する一方、昨年の総裁選の因縁がある岸田文雄首相に反旗をひるがえすわけでもない。先月末の首相との会食では岸田政権を支えることも約束した。融通無碍(むげ)とも映るその言動は、政界にさまざまな臆測を呼んでいる。
二階派「冷や飯」に不満
自民党本部5階の「国土強靱(きょうじん)化推進本部長室」。二階氏は平日の日中、ほとんどの時間をこの部屋で過ごす。部屋の前には連日のように陳情などに訪れる関係者らが列をなす。1年前まで4階の幹事長室で見られた「二階詣で」の光景だ。観光業をはじめ業界団体との太いパイプは、二階氏の力の源泉でもある。
この部屋を提供したのは岸田首相だ。党事務方トップの元宿仁事務総長からの「功労者の二階氏に党本部で部屋を用意すべきだ」との進言を受け入れた。
二階氏は2021年9月の総裁選で首相から「標的」にされた。首相が掲げたのは、党役員任期の「1期1年、連続3期まで」とする党改革案。首相は宣言通り、政権発足とともに安倍、菅両政権で幹事長を務めてきた二階氏を要職から外した。二階氏に残った肩書は「国土強靱化推進本部長」のみ。二階派内では「冷や飯を食わされた」との恨み節がいまもくすぶっている。
動かぬ二階氏
それでも二階氏は今のところ、首相との対決を避け、二階氏の冷遇に憤る同派議員らに対しても「じっとしていればいい」となだめている。それどころか、時折、首相にエールを送る。
「国葬は当たり前だ。やらなかったらばかだ」。二階氏は8月24日に東京都内で講演し、安倍晋三元首相の国葬を決定した首相の判断を支持した。この発言はインターネット上で激しい批判を巻き起こしたが、二階氏は意に介さない。9月16日にはTBSのCS番組収録で、党執行役員の欠席方針を決めた立憲民主党など野党の対応を「世の中に賢くないと印象付けるだけだ」と批判した。
「(内閣)支持率を考えているようなことでは駄目だ。思い切ってやっていけば支持率なんてついてくる」。二階氏はこの番組で首相にアドバイスした。
国葬実施で世論の反発を受ける首相を援護することで「恩」を売る――。そんな狙いも透ける。 二階派関係者は「大型国政選挙もない中で動いても失敗するだけ。二階氏が動く段階ではない」と語る。首相との距離を保ちながら「首相交代」に向けた好機を探っている、との解説だ。
知事選対応は「KO勝ち」?
最近、二階氏が注目を集めたのは、地…
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