惨事はなぜ防げなかったのか ソウル雑踏事故、高まる警察批判
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ハロウィーンを控えた10月29日夜、ソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)で死者156人にのぼる大規模な雑踏事故が起きてから11月5日で1週間となる。韓国では警備が不十分だった警察対応に批判が高まるが、その背景には、主催者がおらず自発的に人が集まる祭りに対する認識の甘さがあった。事故をどうすれば防げたのか。
事故は「人災」
被害を大きくした最大の要因は、警察当局のずさんな対応だ。韓国メディアは「警察が惨事を防いだり、被害を少なくしたりするチャンスは事前に数回あった」(保守系の東亜日報)などと報じており、「人災」との見方が広がっている。
事故が起きたのは29日午後10時15分。3日前の26日に現場を管轄する竜山(ヨンサン)署や竜山区の関係者が開いた会合では、3年ぶりのハロウィーンになることを踏まえ多くの人出への対応が必要との声が出ていた。
にもかかわらず、29日はソウル市中心部の光化門(クァンファムン)と大統領府のある竜山一帯であった保守系と進歩系の政治集会に約4000人の機動隊員を派遣しながら、梨泰院周辺の警備に割いた警察官は137人。多くが麻薬取り締まりの担当で、機動隊員は20人だけだった。警察庁にはハロウィーンのような主催者のいないお祭りやイベントに対応する指針もなかったという。
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