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収容施設で外国人が死亡する事案が相次ぎ、「ブラックボックス」と呼ばれるようになった入管行政には、実は第三者による監視機関がある。出入国在留管理庁(入管庁)が所管する入国者収容所等視察委員会(以下、視察委員会)である。「外部の目」は果たして職責を十分に全うしてきたのだろうか。
大阪出入国在留管理局に収容されていたアフリカ系の40代男性が重い口を開いた。「自由のない、長期にわたる入管の収容は拷問のようです。そのことを視察委員会の人に訴えたかったのに、突然、面接予定日当日に、大阪から茨城の施設に移されてしまったのです。なぜなのでしょうか」。入管法によると、委員会は収容施設などを視察し、その運営に関して「入国者収容所長等」(入国管理センター所長など)に意見を述べるものとする、とある。その入国者収容所長については「視察及び面接について、必要な協力をしなければならない」との規定がある。
男性は日本人女性と結婚して20代の頃に来日し、人生の半分近くを日本で過ごしてきた。来日後は工場で働き始め、その後は小学校で外国語指導助手をしたこともある。2004年に離婚後、在留資格を失い、入管施設に収容された。仮放免中の現在は神奈川県内で生活している。大阪暮らしが長いせいか、大阪弁も話す。
冒頭の一件の経緯はこうだ。男性によると、大阪入管の施設に収容されていた21年11月ごろ、委員会の来訪を掲示物などで知った。視察日は同年12月6日とあったという。長期収容の中で感じた苦痛や困りごとを訴えようと考えた男性は「委員と面接したい」と入管職員に伝えた。ところが、視察の数日前になって突然、茨城県牛久市にある東日本入国管理センターへの移送を告げられ、面接の申し出を取り下げる書面の提出を求められた。やむなくこれに応じたが、「移送の理由について説明は受けていない」。男性は視察日夜の午後9時ごろ、大阪入管を車で出発。茨城県の施設に到着したのは翌7日朝のことだった。
情報公開請求で男性の訴えの事実を確認した。大阪入管が作成した男性についての「護送完了報告書」には、男性の説明通り6日に大阪入管を出発し、7日に茨城の施設に移送された事実の記載があった。視察日程に関しても書面を入手した。21年度の西日本地区視察委員会の「視察結果について(報告)」によると、男性の話の通り、やはり12月6日に西日本地区の視察委員会による大阪入管の視察が行われていたのである。
面接の取りやめや移送の理由について大阪入管に取材すると、…
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