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北朝鮮の弾道ミサイル発射に対する全国瞬時警報システム(Jアラート)の発令で混乱が起きた。政府は経緯を検証し、改善策を講じる必要がある。
3日午前7時50分、弾道ミサイルの可能性がある飛翔(ひしょう)体が発射されたとの情報が、Jアラートを通じて出された。午前8時には「日本上空を通過したとみられる」と伝えられた。
ところが、政府はその後、飛翔体が実際には日本列島を飛び越えておらず、日本海上空で「レーダーから消失した」と訂正した。
その間、Jアラートが発令された宮城など3県では、住民に避難が呼びかけられ、新幹線も一時運転を見合わせた。
浮き彫りになったのは、Jアラートの機能や情報の意味合いが、国民に十分周知されていないという課題だ。
Jアラートは、各種レーダーなどによるミサイルの探知・追尾情報から飛行経路を計算した上で、自治体などに送信する仕組みだ。
政府は「日本領域に落下する可能性がある場合か、上空を通過する可能性がある場合に発令する」と説明している。
住民の迅速な避難のために、政府が予測に基づいて速報することは必要だ。ただ、今回のように、一度発令した内容が変更・訂正されることはあり得る。
政府は、国民が戸惑わないように、そうした可能性について明確に説明し、周知を徹底しなければならない。
情報の内容を正確かつ分かりやすく伝えるために、発令の仕方や表現などの見直しも求められる。
発令の遅れも改めて指摘された。Jアラートで「発射」が住民に知らされたのは、計算によって日本の上空通過が予測された時刻の2分後だった。
10月4日に弾道ミサイルが日本列島を飛び越えた際も、発令が遅れ、「避難が間に合わない」と不満の声が出た。発令までの時間をどれだけ短縮できるのか、検討が欠かせない。
北朝鮮のミサイル発射が頻発する中で、遅れや訂正が繰り返されれば、Jアラートの信頼性が揺らぐ。そのような事態を招かないよう、政府は、情報発信の「質」を高めなければならない。