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点字器をしっかりと両手で支え、1文字ずつ英語の点字でアルファベットを打ち込んでいく。「もうできたの?」。講師が声を掛けると笑みがこぼれた。インドの首都ニューデリーの盲学校の一室。「私にはできることがたくさんある。ここに来るとそう思うんです」。カテーラ・ハシュミさん(33)は取材中に初めて屈託のない笑顔を見せた。
アフガニスタン東部ガズニ州の警察官だった。2020年6月、自宅前で武装した男3人に襲われた。男たちの手に銃を見て、とっさに逃げようとしたが、背後から撃たれて地面に崩れ落ちた。「体中から力が抜けて前に進めなくなった」
意識を失い、目覚めると病室にいた。左脇から銃弾を取り除いたと言われた。真っ暗で何も見えず、痛みと恐怖で窒息しそうで叫んだ。医師から両目を刃物で傷つけられて失明したと聞かされた。
子どもの頃から警官になりたかった。一家は、ソ連のアフガン侵攻(1979~89年)によってパキスタン北東部へ避難。ハシュミさんは14歳の頃まで同国のアフガン難民が多い集落で育った。
9人きょうだいの長女のハシュミさんは、幼い弟妹の世話で忙しい母親の代わりに、「お姉さん」と慕う隣の家のアフガン人家庭の女性に遊んでもらった。家に行くとあめ玉やビスケットをくれた。しかし、お姉さんはよく体にあざを作って一人で泣いていた。夫や義理の両親に殴られるという。助けてくれる人がいないことが悲しかった。「警官になって泣いている女性を助ける」と心に決めた。
予兆を感じていた…
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