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防衛省が、防衛費の大幅な増額を勝ち取ろうと財務省との攻防に挑んでいる。岸田文雄首相が「防衛費の相当な増額」を表明した経緯もあり、防衛省は強気の姿勢を崩していないが、旗色は必ずしも芳しくない。「最強官庁」とも呼ばれる財務省に勝てるのか――。
「NATO(北大西洋条約機構)並みに2%という目標を示すべきだ。この方向で検討してもらいたい」
4月14日、自民党安倍派が党本部で開いた総会。同派会長の安倍晋三元首相は、国防予算を国内総生産(GDP)比2%以上とするNATOの目標を引き合いに出し、日本の防衛費の大幅増を求めた。
GDP比2%以上を目標とするNATOの「国防予算」の定義(NATO基準)は、NATO加盟各国の国防省予算よりも範囲が広い。沿岸警備隊など他省庁の経費も含まれる。
日本政府もNATO基準を参考に「安全保障関連経費」を試算・公表している。海上保安庁予算、旧軍人遺族等恩給費、在日米軍駐留関連経費などを含めた金額だ。2021年度予算(補正予算を含む)の防衛費はGDP比1・09%、安保関連経費は同1・24%だった。
安倍氏はこの日の総会で「NATO基準にすると、海上保安庁の予算が入る。しかし、1・24%にとどまっている。今まで予算制約の中で何とか帳尻を合わせてきたのが現実だ。不足しているものはたくさんある」と熱弁を振るった。
政府は現在、安全保障関連3文書の改定に向け、検討を進めている。3文書は、外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」▽防衛力のあり方を規定した「防衛計画の大綱」(防衛大綱)▽5年間の経費の総額を明示する「中期防衛力整備計画」(中期防)。いずれも12月に改定する予定だ。
防衛省としては、国防費が日本の防衛費の約6倍にも上る中国の台頭や、北朝鮮のミサイル発射など、厳しさを増す安保環境に対応する態勢強化が急務。敵の射程圏外から相手を攻撃できる「スタンドオフ防衛能力」の強化などに向け、次期中期防でいかに多くの金額を確保できるかが勝負どころだ。
防衛力強化の旗振り役だった安倍氏は、防衛省にとって…
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