「お家芸」有機化学にもAIの波 出遅れた日本、巻き返せるか

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AIを活用した実験
AIを活用した実験

 4人のノーベル賞受賞者を輩出し、日本の「お家芸」とも言われる有機化学。しかし近年、科学の他分野と同様に、発展がめざましい人工知能(AI)の波が押し寄せている。研究環境などで厳しい国際競争にさらされる日本に、巻き返しの道はあるのか。

 有機化学は、医薬品やプラスチック類などを製造する、日常生活に欠かせない分野だ。どんな物質同士を、どのような条件で反応させればいいのか。化学者はこれまで、経験とセンスに基づき、研究室で実験を繰り返してきた。

 ところが、その最適な条件などを探るためにAIを使う「プロセス・インフォマティクス」が、2015年ごろから世界で盛んに開発され始めた。

 大阪大産業科学研究所の滝澤忍准教授のチームは、有機化合物のアミンの一種からケチミンの一種を生成する反応にAIを導入し、実験の大幅な省力化に成功した。

 電流密度▽基質濃度▽電解質濃度▽時間▽温度――の5条件を変化させ、生成されるケチミンの割合(収率)が最も高くなる条件を探した。それぞれの条件で3通りの値を調べるだけで、3の5乗=243回の実験が必要だ。ところが、実験はたった12回で済んだという。

 どんな仕組みなのか。

山の頂上、AIが予測

 説明を簡単にするため、条件を二つに絞る…

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