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ロシアによるウクライナ侵攻から8カ月あまり。日本に逃れてきた人々の中には、不安に苦しんだり、孤立感を深めたりする人がいる。安全なはずの場所でも安らげないのは、家族との別れや、慣れない異国での暮らしがストレスになっていることもある。私たちに何かできることはあるのだろうか? 専門家は、価値観の押しつけではない「害のない支援」を説く。
受け入れ側も…「疲れるのは普通のこと」
「不眠や緊張を抱え、将来を悲観する人もいれば、感情や欲求が無くなり、全てのことに関心を失ってしまった人もいます」。東京都千代田区のNPO法人「CINGA」で避難者の相談支援をするウクライナ人の心理士、オルハ・ジュラベルさん(44)は語る。今年7月から週2回、電話やチャットを使い、ウクライナ語とロシア語で対応する。
避難者を受け入れる家族や知人からの相談もある。「受け入れ側にも自分の家族や仕事があります。健康に問題がある両親を招けば、高い医療費を払う必要もある。疲れてしまうのは普通のことです」と明かす。
ジュラベルさん自身もロシアによる侵攻で故郷を追われた。侵攻が始まった2月24日、家族とともに首都キーウ(キエフ)から避難。3月中旬、夫を現地に残し、かつて旅行で訪れたことのある日本へ3人の子どもたちと向かった。現在は東京都内で暮らす。
「日本政府の支援にはとても感謝している」とジュラベルさんは言う。それでも、生活をする上で言葉は大きな壁で、日用品を買いに行くのも一苦労だ。このため週5日、日本語学校に通っている。
子どもたちの様子も気がかりだ。ウクライナで成績優秀だった長男(8)は、都内の小学校に通い始めてから勉強についていけなくなった。クローゼットにこもり、身をかがめるような様子を見せることもあった。
毎日確認するニュースにジュラベルさんもショックを受け、落ち込むこともある。それでも「友人や親戚がウクライナにいる避難者たちには、今の状況を知ることは大事なこと。戦争を忘れることは不可能です」と覚悟する。
ウクライナでもカウンセリングをしていたため、現地にとどまる相談者からは、空襲警報や大きな音におびえ、オートバイの走る音を聞いただけで体が固まり、涙が流れるようになったという訴えも届く。「戦争は多くの人の人生を劇的に変えてしまった。ウクライナに戻りたいけれど、いつ戻れるのか分からないのはストレスです」
「眠れないことがある」28.4%
出入国在留管理庁によると11月1日現在、ウクライナから日本への避難者は全国に1986人。日本財団が6月から避難者を対象に実施しているアンケートによると、707件の回答(4日現在)のうち、28・4%が「眠れないことがある」、24・6%が「孤独を感じる」と答えた。
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