瀬戸内寂聴さんモデルの映画 うそと癖から読み解く道ならぬ恋

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映画「あちらにいる鬼」に主演する寺島しのぶさん(右)と、豊川悦司さん=大阪市北区で2022年11月4日、梅田麻衣子撮影
映画「あちらにいる鬼」に主演する寺島しのぶさん(右)と、豊川悦司さん=大阪市北区で2022年11月4日、梅田麻衣子撮影

 恋や愛を求め、思うがままに生きる。2021年、99歳で死去した作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん。出家するきっかけになった同業者との道ならぬ恋を描いた小説「あちらにいる鬼」(井上荒野さん著)が映画化された。不倫関係になる男女を演じたのは寺島しのぶさん(49)と豊川悦司さん(60)。寺島さんは虚実入り交じる世界に浸り、「うそ」の魅力に気づいたという。豊川さんは、演じた男の癖から想像を膨らませて役を作った。

小説「あちらにいる鬼」が原作

 「生きていらっしゃったら1対1でお話しして、『本当はどうだったんですか?』って聞きたいことがいっぱいありました」と寺島さんは悔やむ。出演が決まり、寂聴さんに手紙を書いたが、直接会うことはかなわなかったからだ。それでも、寂聴さんが「子宮作家」などと批判されていた頃に書いた官能小説など数々の作品に目を通し、当時の寂聴さんの気持ちを想像して自分なりの人物像を作り上げた。

 自伝的小説「夏の終り」などを発表し人気作家となった瀬戸内晴美さん(後の寂聴さん)は、戦後文学を代表する小説家、井上光晴さん(1926~92年)と60年代に出会い、男女の関係になった。その後、井上さんとの関係を絶つため、73年に出家した。

 小説「あちらにいる鬼」は、2人の不倫に気付きながら夫と添い遂げた井上さんの妻を加えた3人をモデルに、井上さんの長女で作家の井上荒野さんが書き上げた。寂聴さんは荒野さんの執筆を応援していたといい、単行本の帯に「作者の父井上光晴と、私の不倫が始まった時、作者は五歳だった」とメッセージを寄せた。

 映画は、この小説を原作にしている。…

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