摂食障害の電話相談者、6割は受診済み 治療の困難さ浮き彫りに

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電話相談内容を分析する国立国際医療研究センター国府台病院の河合啓介医師=千葉県市川市内で2022年10月7日午後4時11分、飯田憲撮影 拡大
電話相談内容を分析する国立国際医療研究センター国府台病院の河合啓介医師=千葉県市川市内で2022年10月7日午後4時11分、飯田憲撮影

 1月に開設された「摂食障害全国支援センター・相談ほっとライン」で9月末までに寄せられた593件の相談のうち、医療機関を受診した経験がある人の相談が約6割を占めたことがセンターのまとめで判明した。新型コロナウイルス禍以降に若年層の摂食障害が増えている中、医療機関とつながりながらも治療が進まない人たちの存在が浮き彫りになった。センターの専門家は「医師との関係構築に時間がかかる疾患なので、気軽にできる電話相談で適切な医療につながる機会を提供したい」と話す。

 摂食障害は、体重増加を極度に恐れて食事を制限する拒食症や、衝動的に大量の食べ物を食べる過食症が代表的な症状の精神疾患。患者の9割以上が女性とされる。厚生労働省などによると、2017年6月時点で摂食障害で受診・入院している人は推計で約22万人に上り、近年はコロナ禍での低年齢化も指摘される。

 日本摂食障害学会が拒食症と診断された患者について調べたところ、21年の患者数は610人で、コロナ禍前の19年の1・53倍に。年代別では10代が1・74倍と最も増えた。小中学生でみると、ほぼ倍増している。生活環境の変化によるストレスのほか、「コロナ太り」を恐れて過度な食事制限につながった可能性があるとみられる。

 相談ほっとラインは、国立国際医療研究センター国府台病院(千葉県市川市)が1月に開設した。厚労省が指定する摂食障害の支援拠点病院は、国府台病院がある千葉と、宮城、石川、静岡、福岡の計5県にしかない。「ほっとライン」は5県以外の地域に住む人を対象にした。同病院によると、全国の幅広い地域を対象にした無料の電話相談窓口設置は初めての取り組みだという。摂食障害に詳しい看護師が当事者や家族らから相談を聞き取る。9月末までに相談件数は当事者593人分に上った。

1月に開設された「摂食障害全国支援センター・相談ほっとライン」で本人や家族からの電話相談に応じる専門コーディネーター=千葉県市川市で2022年10月7日午後4時6分、飯田憲撮影 拡大
1月に開設された「摂食障害全国支援センター・相談ほっとライン」で本人や家族からの電話相談に応じる専門コーディネーター=千葉県市川市で2022年10月7日午後4時6分、飯田憲撮影

 相談は東京、大阪など拠点病院がない都市部から多く寄せられた。当事者は95%が女性で、年代別では10代が40%、20代が28%だった。相談内容は「受診先について」が40%、「病気について」が37%、「患者への接し方」が20%だった。

 当事者のうち、医療機関を受診していない人は21%だったのに対し、「受診中」は41%、「中断中」は16%に上り、医療機関とつながっていながら悩みを抱え続ける人が目立った。摂食障害を専門にしない治療者から「自己コントロールができていない」「食べれば治る病気」などと言われたケースも報告されている。「最寄りの医療機関と治療方針が合わず、近隣で受診できる場所がない」などの悩みも寄せられたという。

 国府台病院心療内科診療科長の河合啓介医師は「医療機関と合わずに苦しむ患者が多い現状も明らかになった」と指摘。その上で「摂食障害は当事者が病気であると認識していないケースも多く、一人で治すのは難しい。正しい知識やさまざまな選択肢があることを伝え、専門家の支援につなげたい」と話す。

 「相談ほっとライン」(047・710・8869)の受け付けは、火、木、金曜日の午前9時~午後3時(祝日などを除く)。予約不要で無料。「子どもが痩せていて心配だ」「過食や嘔吐(おうと)が止まらない」といった想定される主な質問と回答はホームページ(https://www.sessyoku-hotline.jp/)にも掲載している。【飯田憲】

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