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村上政彦さん 『結交姉妹』

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 ◆村上政彦(むらかみ・まさひこ)さん

 (鳥影社・1760円)

石を転がし、求めるもの表現

 異なる言葉を用いれば、世界は異なる顔を現す。中国・湖南省の一部で女性たちが使っていた「女書」(女文字)を軸に、日中の近現代史を見つめた連作短編集。「正史」の陰に隠れたもう一つの歴史を想像力で紡いだ。

 女書は、男尊女卑の社会で漢字を習う機会を与えられなかった女性たちのコミュニケーション手段として生まれたという説がある。「文字を通じた女性だけのコミュニティーがあった。そのネットワークを大陸全域に広げたらどうなるだろう」。そんな想像から物語が広がっていった。

 収録作は全10編。冒頭の「祖父母の謎の形見」では、謎の文字が縫い付けられた布製の冊子を手に、主人公の男性が中国を訪れる。その旅を通じて男性は、曽祖母が中国に生まれ、女書で結ばれた女性たちの共同体に属していたことを知る。さらに他の短編では、日中戦争からコロナ禍の現在までが、女書を使う女たちの視点で描かれる。

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