核実験に本当に踏み切るのか 民間衛星が丸裸にする北朝鮮

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2018年10月に撮影された北朝鮮・豊渓里(プンゲリ)核実験場の衛星画像。中心管理区域(Main administrative area)の周囲に四つの坑道(Tunnel)があるが、北朝鮮が閉鎖済みと主張する東側の第1坑道以外は同年5月に爆破された(グーグルアースより)=オープン・ニュークリア・ネットワーク提供
2018年10月に撮影された北朝鮮・豊渓里(プンゲリ)核実験場の衛星画像。中心管理区域(Main administrative area)の周囲に四つの坑道(Tunnel)があるが、北朝鮮が閉鎖済みと主張する東側の第1坑道以外は同年5月に爆破された(グーグルアースより)=オープン・ニュークリア・ネットワーク提供

 日米韓の首脳がここ数カ月、北朝鮮が7回目の核実験に踏み切る可能性を繰り返し警告している。その根拠の一つが、北朝鮮北東部・豊渓里(プンゲリ)の核実験場を捉えた人工衛星の画像だ。日本政府が衛星画像をどのように分析しているのか詳細は明らかになっていないが、現在では、民間の商業衛星画像からも、北朝鮮が核実験の準備を進めている兆候を読み取ることができる。再び、核実験は行われてしまうのか。衛星画像分析の専門家と読み解いた。【金森崇之】

 国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネル元委員で、豊渓里核実験場の衛星画像を分析する「オープン・ニュークリア・ネットワーク」の上級アナリストも務めた古川勝久さんの協力を仰ぎ、過去の衛星画像を重ね合わせ、豊渓里核実験場の変化や建物の修復状況を比較した。記事中、中央部に白い丸がある四つの画像は、カーソルを合わせて左右に動かすと、核実験場の変化や建物の修復状況を確認できる。

4年半前に爆破された核実験場

 まずは、近年の核を巡る朝鮮半島情勢を振り返りたい。北朝鮮が最後に核実験をしたのは2017年9月のことだ。出力の高い水爆実験だった可能性があり、朝鮮半島情勢の緊張状態が高まった。

 しかし、18年3月に米国のトランプ前大統領が史上初の米朝首脳会談に応じると表明したことで、一転して対話ムードに。北朝鮮は翌月、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射中止を決定。

 5月には、豊渓里にある核実験用の坑道四つのうち、北朝鮮が閉鎖済みと説明した東側の第1坑道以外を爆破し、その様子を報道陣にも公開した。

 衛星画像を分析する古川さんは、「坑道爆破から21年12月初旬ごろまでの間、豊渓里はほぼ放置されていました」と話す。衛星画像でも時折、人の存在や移動の痕跡が確認できる程度。毎年冬になると雪が降り積もり、衛星画像も真っ白に染まったという。

 一方、19年2月に開かれた2回目の米朝首脳会談では、非核化の具体策と、その見返り措置を巡って双方が折り合わず、北朝鮮側は非核化交渉の中断もあり得ると警告。同年末には、米国が譲歩しない場合、戦略兵器の開発を続ける方針を明らかにした。

 韓国との関係も悪化し、20年6月には北朝鮮が開城(ケソン)工業団地にある南北共同連絡事務所を爆破。21年1月の朝鮮労働党大会の演説では、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が戦術核兵器の開発継続を表明した。

 古川さんによると、この間も、核関連施設が集まる北朝鮮の寧辺(ニョンビョン)では、科学者らの居住区を含む各地区で道路整備や建物の新築、改築が進んでいたという。

 核関連施設に至っては、増改築だけでなく…

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