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戦後、天皇の沖縄への思いは、折々のおことばの中に込められてきた。今年10月、皇后雅子さまとともに訪問された天皇陛下は、沖縄が「日本」となる以前の琉球王国からの歩みに言及した。今年5月の復帰50周年記念式典、そして沖縄訪問の際の陛下のおことばには、価値観の分断が進む日本社会で、「象徴天皇」の果たすべき役割の困難さが感じ取れるとも識者は言う。両陛下の示す姿が私たちに問うものはなにか。
「静かに燃える平和の火の前に立ち、青く広がる太平洋を望みながら、沖縄戦の悲惨さや私たちが現在享受している平和のありがたさを思い、改めて平和の大切さを心に刻みました」
令和になって初めて沖縄を訪ねた10月22日夜、両陛下が侍従を通じて出した感想は、慰霊への思いが込められたものだった。
那覇空港到着後、両陛下は沖縄平和祈念堂に続いて、国立沖縄戦没者墓苑(糸満市)で供花し、沖縄戦の遺族らと言葉を交わした。戦没者の名前が刻まれた「平和の礎(いしじ)」や県平和祈念資料館にも赴いた。
沖縄の本土復帰から50年を迎えた今年、両陛下は改めて沖縄の文化や歴史への理解を深めようと心を尽くした。5月と6月には東京都内で開かれた沖縄の歴史に関する展示に足を運び、10月になると琉球大の高良倉吉名誉教授(琉球史)から沖縄文化について説明を受けている。
そして迎えた沖縄訪問。戦争への慰霊が中心となった初日を終えると、2日目には国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭の開会式に臨んだ。
「沖縄県は、琉球王国の時代から…
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