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名古屋市東区 ユニバーサル物産 キッチン用品、災害時も /愛知

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屋内外で使える鍋などを紹介するユニバーサル物産の林恭史社長=名古屋市東区の同社で2022年11月10日、太田敦子撮影 拡大
屋内外で使える鍋などを紹介するユニバーサル物産の林恭史社長=名古屋市東区の同社で2022年11月10日、太田敦子撮影

 キッチン・アウトドア用品などを手がけるユニバーサル物産(名古屋市東区)は、創業9年目のベンチャー企業だ。林恭史社長(44)は元消防士。幾度も緊急出動の現場を踏んだ経験から「人に生きるためのエネルギーを与える仕事を」と思い立ち起業した異色の経歴を持つ。自然の中で家族や友人たちと過ごす時間を支える使いやすいアウトドア用品のほか、災害時にも活用できるキッチン用品などユニークな商品企画を生み出している。【太田敦子】

 ビジネスを始めたきっかけは消防士として働いた12年間の体験だった。出動が最も多いのは自殺の現場。「なぜ?」とやりきれない思いを抱えたが、自分たちは通報を受けてからしか動けない。「何かできることはないのか」ともんもんとした日々を送った。

 そんな時、スティーブ・ジョブズの伝説のスピーチ「ハングリーであれ。愚か者であれ」を知り、気付いた。本当に自分がやりたいこととは何か。大切な人と楽しく過ごす時間こそ、生きる糧では。思いを固めて辞職し、「普遍的なものを生み出す」という意味を込めた同社を設立。日常を楽しくするキッチン用品と非日常を味わうアウトドア用品のブランド「IWANO(イワノ)」を立ち上げた。

 現在のラインアップは屋内外で使えるフライパンや鍋などが主力だ。中でも金属加工で知られる新潟県・燕三条で製造したホットサンドメーカーは14万個以上を売り上げるヒット商品になった。洗いやすくするため凹凸をなくし、リュックに入れやすいコンパクトサイズ。接合部を外すと別々の二つのフライパンとしても使える。たき火などじか火調理もできるため、防災リュックに入れておけば被災時にも活用できる。「日ごろ使っていれば慌てない」と、商品を使って災害食を調理する親子向けイベントも開いた。

 自信作は他にもある。三重県・万古(ばんこ)焼のおひつだ。ご飯の保存はもちろん、電子レンジとオーブンにも対応し、幅広い料理に使える。林社長が素材にほれ込み、窯元に製造を直談判したという。伝統技術にこだわるのは「30年前も、30年後もあり続ける」を商品化の基準にしているから。「普遍性」に価値を置く社の理念に沿うものだ。

 最近の原材料費の高騰は大きな痛手だ。質を落とさず価格転嫁を避けるにはどうしたらいいか、社員と知恵を絞る。「新しい世界に飛び込み、ファーストペンギンにならなければと思いやってきた」と林社長。「人に元気を与えたい」を原点に、新たなブランドやサービスの展開も視野に入れる。


 ■メモ

ユニバーサル物産

 従業員7人、年商2億5000万円。まずは年商50億円に伸ばすのが林恭史社長の目標。ブランド名「IWANO」は、初めて会社の事務所を置いた愛知県春日井市内の地名からとった。販売は主にオンラインショップだが、10月からはスポーツ用品大手「アルペン」が展開するショップでも取り扱いを開始した。とりわけキャンプでテントなどを固定するときに使う「ペグ」が好評という。

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