つくばのクリスタルキング 陰の立役者で研究論文1000本超

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ピンセットでより分けられる六方晶窒化ホウ素の結晶。顕微鏡で見た画像で、背景の格子の幅は1ミリ=茨城県つくば市で2022年11月1日午後3時17分、松本光樹撮影
ピンセットでより分けられる六方晶窒化ホウ素の結晶。顕微鏡で見た画像で、背景の格子の幅は1ミリ=茨城県つくば市で2022年11月1日午後3時17分、松本光樹撮影

 「クリスタル(結晶)キング」。世界で影響力のある英国の科学誌「ネイチャー」でそう紹介された2人の研究者が、茨城県つくば市にいる。2人が作り出した結晶は、鉄やプラスチックに次ぐと期待されている新素材の研究には欠かせず、陰の立役者だ。一体、どんなものなのか。

大きさは最大1ミリ

 つくば市にある国立研究開発法人「物質・材料研究機構」の実験室。谷口尚(たかし)フェロー(63)が顕微鏡をのぞくと、いくつもの透明な結晶が輝いていた。「これは割と大きいね」。とはいっても、大きさは最大でも1ミリほど。谷口さんはピンセットを使って、結晶をより分けていった。

 結晶は、共同研究者の渡辺賢司主席研究員(60)と一緒に作っている。その正体はというと、窒素(元素記号はN)とホウ素(B)でできた「六方晶窒化ホウ素(hBN)」と呼ばれる物質だ。ホウ素は、ガラス製品など工業製品の材料によく含まれている。

 この結晶を製造するには、高圧プレス機を使う。ホウ素などの原料に約4万気圧の高圧、そして約1600度の高温を10日間にわたって加えると、純度の高い結晶ができるのだ。4万気圧とは、小指に1トン車が40台乗っているほどの圧力と同じだ。

 谷口さんは「プレス機は、実験室に誰かがいる時は常に動かしています。休ませるのは年末年始ぐらいかな」と話す。

新素材の研究に必須

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