協力から競争の時代に 月を巡る新たな宇宙開発とは

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アルテミス計画で新設する月を周回する宇宙ステーション「ゲートウェイ」のイメージ=米航空宇宙局(NASA)提供
アルテミス計画で新設する月を周回する宇宙ステーション「ゲートウェイ」のイメージ=米航空宇宙局(NASA)提供

 米大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」の打ち上げが成功し、米アポロ計画以来、半世紀ぶりに人類が月を目指す「アルテミス計画」が始まった。新たな宇宙開発時代の幕開けとなるのか。

 現在、有人宇宙開発の主な舞台は、国際宇宙ステーション(ISS)だ。

 冷戦さなかの1980年代、旧ソ連の宇宙ステーション「ミール」に対抗する形で、米国が西側諸国に開発計画を提案した。日本、欧州、カナダが参加し、ソ連の崩壊でロシアも加わり、15カ国の協力体制で98年に建設が始まった。

 2度の大事故を起こした米スペースシャトルが2011年に引退すると、ISSへの飛行士の輸送はロシアのソユーズ宇宙船が担った。日本も最大の実験棟「きぼう」や無人補給機「こうのとり」を提供。各国が長所を生かして貢献し、宇宙における国際協力の象徴になってきた。

 しかし転機が訪れる。

 ISSの老朽化を見据え、次に月や惑星の探査を目指す構想は10年代からあった。米トランプ政権(当時)はそれを具現化し、19年にアルテミス計画を決定。5年以内に月に再び人類を送ると明言した。月を回る宇宙ステーション「ゲートウェイ」や月面基地の建設、その先の有人火星探査まで視野に入れた巨大プロジェクトだ。

 米バイデン政権はアルテミス計画を引き継ぐ一方、ISSは30年まで運用する方針だ。アルテミス計画が事実上の「ポストISS」となる。

 一方、国際協力の足並みは揺らいでいる。

協力から対立、競争へ

 近年台頭するのが、ISSに参加していない中国だ。「…

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