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日本ではゲームといえばテレビやスマホがメインですが、近年、対面で行う非電源ゲームも注目を集めています。人気のボードゲーム・カードゲームを紹介します。
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ゲームのメカニクスやルールだけでなく、アートワークもボードゲームの大きな魅力の一つです。美しいボードや可愛い駒、芸術的な箱絵など、ネット交流サービス(SNS)で「映(ば)える」3作品を集めてみました。
ステンドグラス作りを競う「サグラダ」
スペイン・バルセロナにある巨大教会「サグラダ・ファミリア」。1882年の着工から今なお建設が進められている世界遺産です。当初完成までに300年かかると言われていましたが、作業工程の見直しやITの活用で、デザインしたアントニオ・ガウディ没後100年にあたる2026年に完工するとか。
プレーヤーは大聖堂を彩るステンドグラスの職人。仲間と競い合って華麗な作品を作り上げます。材料となるガラスの断片は、5色のサイコロで表現されており、ラウンドの最初に一定数(人数掛ける2足す1個)を振って順に取り個人ボードのくぼみに置いていきます。
くぼみに描かれている色や出目に従って配置しなければならないだけでなく、同じ色・出目は上下左右に隣接して置いてはいけません。この縛りがきつく、ラウンドが進むにつれ置けるサイコロの選択肢がどんどん狭まっていきます。欲しくないサイコロばかりが他プレーヤーに残されて万事休すということも。個人目標と共通目標に向かってサイコロをどう配置していくか。見かけだけじゃない本格的なパズルゲームです。
重ねて名画を「キャンバス」に
透明なカードに描かれた図案を重ねて絵画を完成させる「キャンバス」も美しいアートワークが特徴です。注目すべきはなんと言っても箱絵。イーゼルを小脇に抱えた女性が左下に、気球らしき飛行物体が右上に配置された夕焼け色の風景。田園地帯に立つ塔やオブジェが不思議な雰囲気を醸し出しています。普通ならば記載されているはずのタイトルや出版元、作者の名前などの文字は一切なし。壁掛けして鑑賞できるよう箱裏上部に穴が開けられているという徹底ぶりです。
メカニクスはセットコレクション。プレーヤーは芸術祭に参加している画家です。手番になったら、ボード(これも布製でおしゃれ)に並べられた芸術カードを1枚取るか、それまでに獲得していた芸術カード3枚を背景入りのスリーブに重ね入れるという2択。透明な芸術カードにはなにがしかの図案が描かれていて、重ね合わせることでバラエティー豊かな作品に仕上がるという仕組みです。芸術カードの下部には色や形などを表すアイコンがあり、得点カードで指定された組み合わせによって点数になります。同点の場合は完成した絵を他のプレーヤーが審査して勝敗をつけるというタイブレーク要素もあるので、作品の出来栄えも重要です。芸術カードは60枚用意され、思わぬ傑作が生まれることも。テーマと内容がマッチした良作です。
駒に魅了「アクアガーデン」
最後は国産の「アクアガーデン」を。名前の通り水族館をつくるゲームです。思い立って水族館をオープンしたのはいいのですが、水槽に入れる肝心の魚類がいません。専門業者を回ったり漁師から買い取ったりしながら水族館を充実させていき、水槽に入れた魚類の組み合わせで点数を競います。
まずはオーナー駒を使ってギャラリー(専門業者の展示施設とみられます)を巡って止まったマスの魚を仕入れます。移動は何歩してもよいが後戻りできないというすごろく方式。順番に手番を行うのではなく、常に最後尾のプレーヤーの手番となるので、牛歩してたくさん魚を集めるか、他のプレーヤーに取られないように欲しい魚まで一直線に向かうか。お金を払って漁師から直接買い付ける機会もあります。

個人ボードに六つある水槽。魚の種類によって酸素消費量が決まっており、水槽が持つ供給量を超えて飼育することはできません。また、サメと小型魚類・大型魚類・ウミガメは同じ水槽に入れられないなど捕食関係による制限もあります。
基本ゲームでは、小型魚類、大型魚類、タツノオトシゴ、サメ、ジンベイザメが登場。上級ルールでは、メンダコ、マンタ、コバンザメが。さらに拡張セットではシーラカンスやクリオネ、ダイオウイカ、リュウグウノツカイなども用意されています。それぞれの木製駒が愛らしく、ずっと眺めていたくなる。所有欲がくすぐられる作品です。【野地哲郎】=次回は12月3日掲載
「サグラダ」データ
1~4人用◆所要時間30~45分◆13歳以上対象◆ダリル・アンドリュース、エイドリアン・アダメスキュー作◆2017年初版
「キャンバス」データ
1~5人用◆所要時間30分◆14歳以上対象◆ジェフリー・チン、アンドリュー・ナーガー作◆2021年初版
「アクアガーデン」データ
1~4人用◆所要時間40~60分◆15歳以上対象◆戸塚中央作◆2021年初版