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職場コミュニケーションのコツ 敬語と雑談をうまく使おう

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写真はイメージ=ゲッティ
写真はイメージ=ゲッティ

 社会人の皆さん、職場で上司や部下とうまくコミュニケーションが取れていますか? 特に新社会人にとって、職場はこれまでの人間関係と全く異なる環境です。「敬語が苦手」という方も多く、上司との関係がうまくいかずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

 そこで、「いい人間関係は『敬語のくずし方』で決まる」(2021年、青春新書インテリジェンス)などの著書があるコミュニケーション研究家・藤田尚弓さんに、世代が異なる人とのコミュニケーションのコツをうかがいました。

敬語と職場コミュニケーションの関係

 ちまたには「間違いやすい敬語」について書かれた本やインターネット記事があふれています。相手を敬う尊敬語や、自分がへりくだる謙譲語は社会人にとって必須のスキルだと思う方も多いでしょうが、なぜ大事なのでしょうか?

 藤田さんは「敬語は『相手に敬意を示す』という日本の素晴らしい文化です。日本人は初対面では敬語で話し、距離が近づいていくと普通の言葉遣いになる。敬語には距離の調節機能があるのです」と解説します。

 「正しい敬語を話さなければ」と思うあまり、上司とうまく話せない方も多いかもしれませんが、敬語で何より大事なのは相手を敬う気持ちです。

 例えば、上司に「ちょっとこっちへ来て」と言われたとき、「はい」と返事をしてすぐに行く。たとえ言葉で「承知しました」と言っても、舌打ちをしては敬意は伝わりませんよね。

 マナーについても同じです。例えば、タクシー内では運転席の後ろの席が上座とされていますが、一緒に乗る相手が先に降りる場合は、相手が助手席の後ろに座った方がスムーズでしょう。

 繰り返しますが、敬語もマナーも大事なのは「敬意を示す」ということ。正しい敬語やマナーが、いつも良いというわけではありません。ただ、正しい形を知っていて臨機応変に対応を変えるのと、知らないまま相手に敬意を欠く対応をしてしまうのとでは大違いです。

 藤田さんは、敬語について書かれた本を1冊買って、勉強することを勧めています。社会には、不適切な敬語やマナーを快く思わない人がいるのも事実です。「そんなさまつなことで印象が下がるのはもったいない。敬語は本当はそれほど難しくありません」(藤田さん)

上司とうまくコミュニケーションを取る方法

写真はイメージ=ゲッティ
写真はイメージ=ゲッティ

 そもそも職場で「コミュニケーションが取りにくい」と感じる理由の一つは、異世代間で人間関係を築くことが難しいからです。学生時代までは、同年代の人たちとサークルや趣味など共通の話題で盛り上がることができました。

 でも、職場にはさまざまな年齢やバックグラウンドを抱えた人がいます。好きな食べ物や天気の話だけでは会話が続きません。

 そこで藤田さんが提案するのが、ニュースなどの時事問題に関心を持つことです。「話題になっている社会問題について自分の考えを持っておけば、会話の引き出しも増えます。ちょっと背伸びをして、まずは慣れることから始めてみてください」

 最近はスマホで情報を得る人も多いですが、スマホは検索履歴などから、個人の好みに沿った情報が多く表示される仕組みになっています。

 「スマホでニュースを見ていると思っても、それはパーソナライズ(個人に最適化)されたもの。YouTubeもオススメばかり出てくる。いろんな情報に触れることが大切です」。新聞や雑誌、本など「自分の好み」というフィルターのかかっていない媒体を見るのがオススメだそうです。

部下とのコミュニケーションで避けるべき行動

 管理職の皆さん、部下とはどのようにコミュニケーションを取っていますか? 職場は仕事をするために集まる場所ですから、単なる仲良しこよしではいけません。失敗すれば叱責し、成果が出れば褒める、というように「アメとムチ」を使いこなしている方がいるかもしれません。

 ですが、藤田さんは「アメとムチは逆効果です」と断言します。

 次のような心理学の実験があるそうです。

 ゴールに餌が置かれた迷路のスタート地点にネズミを置き、ゴールまでの道を覚えさせようとします。道を間違ったら電気ショックを与えると、ネズミは痛みを感じたくないので、道を覚えて餌にたどり着けるようになります。ここまではよく知られる「学習」の実験です。

 ただ、実験には続きがあります。電気ショックの威力を大きくしすぎると、ネズミは道を早く覚えるどころか、うずくまってチャレンジをやめてしまうというのです。

 人間も同じで、あまりに厳しく叱責されるとショックが大きすぎて、次からは叱られないように失敗を避けようとします。その結果、チャレンジ自体をやめてしまいます。

 それなら、「適切に叱ればいい」と考える方もいるでしょうが、藤田さんは「その叱りが適切かどうかは叱られる側が決めること。『叱り』は一切無くていい」と言い切ります。

 一方で、実は褒めることも難しいのです。いつも褒めてばかりだと相手は慣れてしまいますし、あまりに簡単なことで褒めると「ばかにされているのでは」と感じてしまいます。

 叱るのも褒めるのもダメ、ではどうしたらいいのでしょうか。その答えは「ニュートラルなフィードバック」です。仕事の成果に対して、何が悪くて何が良かったか、今後どうすればいいのかを人格攻撃をせずに伝えることが大切です。

 「相手の嫌がる行動を取ることで相手の行動をやめさせる(例えば、厳しく叱って部下のミスを減らそうとする)のは簡単で、つい取り入れたくなります。ですが、そうすると長期にわたっていい関係は築きづらくなり、誰も得をしません」(藤田さん)

職場コミュニケーション活性化のメリット

写真はイメージ=ゲッティ
写真はイメージ=ゲッティ

 職場コミュニケーションが活性化すると、どんなメリットがあるのでしょうか。

 職場でコミュニケーションがうまく取れると、メンバー同士の心の距離が縮まり、良いチームワークが形成されます。藤田さんによれば、何かトラブルが発生した際、メンバーの心の距離が近い方が、うまくまとまりやすいそうです。

 では、心の距離を縮めるために必要なものは何でしょうか。その手段の一つが「雑談」です。最近は雑談に関するビジネス本も多く出版されています。

 立場が上の人も下の人も、なるべく自分から話しかけてみる。雑談を通じて自分の情報を開示することは、相手との心の距離を縮める効果があるそうです。ただ、何を話していいのか分からない方のために具体例を挙げてみます。

 (例1)「僕が若い頃は大きな仕事を任されていてね。とても大変だったけど、やりがいもあった。今の若い子にもそういう経験をさせてあげたいんだけど難しいのかなあ……。あ、そうだその時にね……」

 (例2)「最近、散歩にハマってるんだよね。道に咲いてる花とか、意外な発見もあって楽しいんだ」

 さて、どちらの印象が良いでしょうか。きっと後者の印象の方がいいと感じる方が多いと思います。藤田さんは「『自分語り』は長いから嫌われる」と言います。ポイントは「さらっと、ちらっと意外な一面を見せること」。

 そうすると相手も親近感がわき、「え? そうなんですか! 実は私も……」と応じたくなるそうです。また、話す分量は「自分3割、相手7割」くらいが、お互いが満足できる会話になりやすいようです。自分から話しかけ、相手が返してくれたら聞き役に回ってください。

 ちゃんとした敬語を話そう、相手が喜ぶうまい話を振ろう……などと考えてしまうと、なかなか会話を始められません。「何を話したらいいのか分からない」のはみんな同じ。とにかく積極的に話しかけ、共有できる話題を作る努力をしていくことが職場内でのコミュニケーションを円滑にする秘訣(ひけつ)かもしれません。

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