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サッカーのワールドカップ(W杯)は国際情勢を映し出す鏡である――。5月に80歳で死去したイビチャ・オシムさんの日本代表監督時代に通訳を務めた、国際ジャーナリストの千田善さん(64)はそう語る。では、中東初開催となるカタール大会からは何が見えるのか。開幕を前に聞いた。
「ブラッター体制の負の遺産」
「始まる前から成功できないと宿命付けられた大会ではないか」。師と仰ぐオシムさんを思わせる鋭い論評は、手厳しい一言から始まった。
千田さんが真っ先に指摘したのが、国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター前会長が先日、スイス紙に語った「カタールを選んだのは間違いだった」との言葉だ。ブラッター氏は2010年12月、FIFAが理事会で開催地を決定した当時の会長だった。気象条件に加えてW杯出場経験もなく前評判は低かったが、米国やオーストラリア、日本など5カ国の立候補地から選ばれた。潤沢な資金によるロビー活動が決め手だったとされる。その後、15年にFIFA幹部らが贈収賄や資金洗浄の罪で起訴された汚職事件が発覚し、ブラッター氏も辞任に追い込まれた。
「発言の真意は分からないが、自らの責任を軽くしたいのかもしれない。初のイスラム圏開催というのは選ぶ口実に過ぎず、結局はマネー。商業化が行き着くところまで行き、たどり着いたのがカタールだった。カタール大会はブラッター体制の最後の負の遺産と言える」
ペルシャ湾の小国での開催は人権という新たな「火種」も生んだ。カタールは国家収入の多くを石油・天然ガスが占め、労働力を低賃金で働く外国人労働者に依存する。国際NGOや海外メディアは出稼ぎ労働者の過酷な人権状況を問題視し、批判を続けてきた。
「報道によって6000人とか1万5000人とか数字はさまざまだが、多数の労働者を犠牲にしてスタジアムが建設された。これだけで、もう成功とは言えない。欧米諸国の…
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