浜名湖のアサリ復活へ ノーベル賞研究支えた地元企業が支援

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浜名湖岸の施設で、アサリの餌となるパブロバを培養している浜松ホトニクスの松永茂さん=浜松市西区で2022年7月26日午後3時44分、渡辺薫撮影
浜名湖岸の施設で、アサリの餌となるパブロバを培養している浜松ホトニクスの松永茂さん=浜松市西区で2022年7月26日午後3時44分、渡辺薫撮影

 淡水と海水が混じり、豊富な魚介類を誇る静岡県の浜名湖(浜松市、湖西市)で、名物の一つアサリが激減している。この10年あまりで漁獲量は60分の1に落ち込んだ。苦境にある漁業者たちの力になろうと名乗りを上げたのが、ノーベル物理学賞を受賞した研究でも貢献してきた地元企業。持ち前の技術を生かし、漁業者たちと資源回復に取り組んでいる。

 浜名湖東岸にある浜名漁業協同組合の施設。プラスチックケースに水が満たされ、その中で赤、青、黄の3色の光がともっていた。

 「この中に栄養価の高い植物プランクトン『パブロバ』がいます」。そう説明するのは、地元の光学機器メーカー、浜松ホトニクス(浜松市)で新規事業開拓を担う松永茂さん(59)。ケースの中で培養されているパブロバが、アサリ復活の鍵を握るという。

 浜名湖は河川を通して栄養が流れ込み、入り江や水深の浅い湖底に広がる砂地が、アサリの格好の生育環境だった。ふっくらと柔らかくうまみにあふれるアサリは、遠州灘のシラスとともに、地元漁業者の生活を支える「車輪の両輪」だった。

 だが、最盛期の2009年に約6000トンあったアサリの漁獲量は、21年に60分の1の約100トンまで落ち込んだ。下水処理能力の向上で水質浄化が進み、湖の栄養分が減少した▽クロダイなどアサリの稚貝を食べる外敵の増加▽湖水の塩分濃度の変化――など、複合的な要因があるとみられる。

 アサリ漁の不振に伴い、11年は628人だった浜名漁協採貝組合連合会の組合員は22年に384人まで減少した。組合連合会の山本崇さん(42)は「放っておくと漁師たちの生活基盤が無くなってしまう。アサリの復活は待ったなしの課題だ」と強調する。

 漁業者たちの苦境を受けて立ち上がったのが浜松ホトニクスだ。スズキやヤマハ、河合楽器製作所などが本社を置く産業集積都市・浜松市の中でも、浜松ホトニクスはノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊さんや梶田隆章さんらの研究を支えてきたことで知られる。

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